クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第5話

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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第5話

『フレッシュプリキュア!』本編が超絶クライマックスを迎えつつある今日この頃。

今回はグレイブとピーチたちとの関係に早くも答えを示す、第5話です。

 

 

******

 

並んで道を歩くメイとキサナ。

 

「本当にプリキュアのいる場所がわかるの?」

「はい。この前の戦闘で得たデータをもとに、反応をたどれば」

 

立ち止まるキサナ。

 

「どうしたの?」

「……反応が……近づいてきます」

「え!? まさか、気付かれた!?」

「かもしれませんね」

「ど、どうしよう!? 敵だと思われてたりするかも!?」

「それは、無いと思いますけど……」

 

あわててその場から逃げようとするメイ。

微動だにせず、道の先を見つめるキサナ。

 

「キサナ! 私、まだ心の準備がっ!!」

「……来ます」

 

向かい側から現れたのは――。

 

「プリップ~~~」

「……へ?」

 

奇妙な声を耳にして、電柱の陰から恐る恐る顔をのぞかせるメイ。

 

「プ~リ~」

 

キサナの懐へ飛んでくるシフォン。

 

「な、なに? その人形??」

「これは……」

「シフォ――ン!」

 

息を切らせて走ってくるラブとタルト。

 

「よかった……。シフォンはいつも勝手にどこかへ行っちゃうんだもん。心配したよ」

 

キサナからシフォンを受け取るラブ。

 

「ありがとう! あなたはメイさんのお友だち? それとも――」

(ピーチはん!!)

 

タルトにつつかれて、ようやく現在の状況のまずさに気付くラブ。

 

「桃園……さん……?」

「ち、ちがうの! この子は、ちょっと変わってるけど、ただのぬいぐるみでっ!」

「ただのぬいぐるみが空飛んでたまるかぁ!!」

 

問い詰めるメイと、必死にごまかそうとするラブ。

 

「……なるほど、あなたが」

「「え?」」

 

キサナの言葉に、会話を止める二人。

ラブに向かってお辞儀するキサナ。

 

「よろしくお願いします。キュアピーチ」

「「え……」」

 

硬直するラブとメイ。

 

「紹介します。こちらがキュアグレイブこと、黒須メイです」

 

滝汗を流しながら顔を見合わせるラブとメイ。

 

「「えええ―――――っ!??」」

 

 

 

フレッシュプリキュア! クロスオーバー

第5話『仲間はいらない? メイの戦い!!』

 

 

 

桃園家。

一堂に会したプリキュア関係者たち。

ラブ、美希、祈里、タルト、シフォン。

メイ、キサナ。

 

「それじゃ、あらためて自己紹介しよっか。あたしは桃園ラブ、キュアピーチ! よろしくね、キサナ!」

「あたしは蒼乃美希。キュアベリーよ。……で、こっちが」

「山吹祈里。キュアパインはわたしね」

「わいはタルト。スイーツ王国の可愛いカワイイ妖精さんや。 ほんで、この赤ん坊はシフォンいいますねん」

「キュア~! キュア~!」

「私はキサナ。夜の王国トワイライトの使者です」

 

キュアグレイブ、そしてキイマジンについて説明するキサナ。

 

「そっか……今までずっと、メイ一人で戦ってきたのね」

「でも、今日からは私たち三人も一緒よ」

「…………」

 

なぜかメイの表情は暗い。

首をかしげる美希と祈里。

 

「あたし、メイさんがキュアグレイブで本当にうれしいよ!! ほら、シフォンもメイさんにごあいさつして!」

 

間近で顔を合わせるシフォンとメイ。

 

「キュ……」

「…………」

「キュアァ~~~~~!!」

 

突然泣き出すシフォン。

 

「なんやシフォン、どないしたんや?」

「よしよし。初めてだから、びっくりしちゃったのかな? ごめんね、メイさん」

「……その子はわかってるみたいだね。私が桃園さんたちとは違うって」

「え……?」

「なに言ってるのよ。メイもあたしたちも、平和を守るために戦うプリキュアの仲間じゃない」

「みんなで力を合わせれば、どんな怪物が襲ってきても大丈夫だって、わたし信じてる!」

「…………」

 

ラブたちと目を合わせようとしないメイ。

 

「メイさん……?」

 

キサナの瞳が紫色に輝く。

 

「キイマジン反応……!」

「!」

「おいでなすったわね!」

「メイさん、急ごう……って、あれ?」

 

部屋の中にメイの姿は無い。

 

「い、いつの間に……」

「あたしたちも行かなくちゃ! キサナ、案内して!」

「わかりました!」

 

街灯が照らす黄昏の道を走るメイ。

リングルンを通して語りかけるキサナ。

 

『メイ!』

「リングルンの反応から、大体の方角は読み取れるようになったよ」

『いまキュアピーチたちも合流させます。協力してダークルンを回収しましょう』

「……私は独りでやらせてもらうから」

『メイっ!?』

「チェインジプリキュア!!」

 

 

***

 

 

ビルの谷間に浮遊する何者か。

黒いエナメルの衣装に赤く大きなトンガリ帽子。

黄と黒の縞模様が描かれた杖に腰掛け、フワリフワリと宙を舞う。

 

「イニシャルW……赤い帽子の魔女か」

「わたくしの名は、ウィッチ・ティノラ。 ダークルン四姉妹が三女ですわ」

 

帽子の下から、いかにも気位の高そうな金髪の少女の顔が現れる。

 

「喋った……?」

『封印から解放され、ダークルンも徐々に本来の能力を取り戻しつつあるようです。回収を急がなければ』

 

空中に浮かぶウィッチと対峙するグレイブ。

そこへ合流するピーチ、ベリー、パイン。

 

「メイさん、おまたせ!」

「あれがキイマジン!?」

「女の子みたい……」

 

予想外のキイマジンの容姿に驚きを隠せないピーチたち。

そんな様子を見下ろしながら、優雅に舞うウィッチ。

 

「せっかく姿を手に入れたというのに、また封印されるだなんてまっぴらご免ですわ」

「ハイハイ。大人しくしてくださいね、お嬢さん!」

 

跳躍し、ウィッチの正面から拳を打ち込むグレイブ。

だが、目の前に突如現れた光の魔方陣がその攻撃を弾き返す。

 

「!?」

「そんな攻撃、きっかな~いのですわ!」

 

杖を振り回し、グレイブに向けて魔導弾を連射するウィッチ。

数発はトンファーで受け止めたものの、防ぎきれなかった弾がグレイブの左肩に命中する。

 

「くっ」

 

肩を押さえ、地面を転がるグレイブ。

 

「メイさん!」

「――このぉ!」

「えいっ!」

 

上下からウィッチに攻撃を仕掛けるベリーとパイン。

しかし、同時に二つ出現した魔方陣に阻まれてしまう。

 

「ダメだわ!」

「効かない……!」

「わたくしの絶対障壁陣をその程度の攻撃で破れると思ったら、おぉ~間違いですわ!」

 

高笑いとともに杖を高速回転させるウィッチ。

魔導弾が辺りに降り注ぐ。

 

「このままじゃ!」

「町が壊されちゃう!」

「……みんなの力を合わせよう!」

 

ピーチの言葉にうなずくベリーとパイン。

 

「その必要は無いよ」

「メイさん!?」

 

一人で魔導弾の雨を突破していくグレイブ。

ウィッチに向けて一直線に飛び、そのままパンチを繰り出す。

 

「何度やっても同じことですわ!」

 

展開される魔方陣。

グレイブの左腕、リングルンが光を放つ。

 

「ハァアアッ!!」

 

次の瞬間、魔方陣を貫いた左の拳がウィッチを捉えた。

 

「ぐぁ!?」

 

中心に大穴を開けられ、消滅する魔方陣。

すかさず左手でウィッチの肩を捉え、右の拳の連打を浴びせるグレイブ。

その猛攻に息を呑むピーチたち。

 

「ぐっ……あっ……どうし、てっ!?」

「その程度の空間制御なんて、グレイブの力の前には無意味なんだよ」

 

ビルの壁面に叩きつけられるウィッチ。

 

「お……おのれ……」

 

身動きのできないウィッチに向けて、無情にトンファーを構えるグレイブ。

 

「わたくしを倒しても、必ずや他の姉妹が、あなたを――」

 

言葉を遮るように、ウィッチの胴にトンファーが突き立てられる。

 

「……ロックブレイク」

『キィィィィィィィ!!』

 

断末魔をあげて砕け散り、ダークルンに戻るイニシャルW。

地面に落下し、乾いた音を立てて跳ねる赤いカラーコーン。

その隣に着地するグレイブ。

 

「や……やったね、メイさん!」

 

笑顔で駆け寄るピーチたちを制止するように、手のひらを向けるグレイブ。

 

「……ねえ、桃園さん」

「?」

「キイマジンの相手は、私一人で十分だからさ。みんなはラビリンスとの戦いに集中してもらえるかな」

「でも……」

 

グレイブの瞳がピーチを正面から見据える。

 

「もう一度言うよ。私に助けは必要無い」

「メイ……さん」

 

三人に背を向け、去っていくグレイブ。

 

『……リングルンの力に頼り過ぎです。これ以上、未完成のリングルンに負荷をかけるのは得策とは言えません』

「だから、桃園さんたちと協力しろってこと?」

『彼女たちとラビリンスとの戦いに手を出すなといったのは私です。でも、それはあくまでリングルンの消耗を抑えるためです。逆の場合まで禁じているわけではありません』

「……足手まといが三人もいちゃ、勝てるものも勝てないよ」

『メイっ!?』

 

 

***

 

 

翌日の学校。

 

「メイさん!」

「…………」

 

ラブの声を無視し、終業とともに教室を出て行くメイ。

 

「メイさん……」

「今日は朝からずっと、機嫌悪かったよね」

「転校してきたばかりの頃に戻ったみたい」

「……ラブ、ケンカでもしたの?」

 

由美ちゃんたちクラスメイトの言葉を受け、自分の胸に手を当てるラブ。

 

「あたし……メイさんに嫌われること、しちゃったのかな……」

 

ラブのリンクルンが鳴る。

 

「もしもし、美希たん? ……うん、わかった!」

 

学校を出て、公園へ向かうラブ。

ドーナツカフェに美希、祈里、そしてキサナの姿。

 

「キサナ!」

「こんにちは」

 

ラブに向かってお辞儀をするキサナ。

 

「あ、こんにちは……って、ブッキーも?」

「キサナちゃんから、うちの動物病院に電話があったの」

「あたしの家のビューティーサロンにもね。……それで、相談って何なの?」

 

ゆうべのメイの様子を話すキサナ。

 

「メイがなぜ頑なに協力を拒むのか、私には見当がつかなくて……」

「……確かに、メイさんはわたしたちより強かったわ。でも、一人だけではどうにもできない時もあると思うの」

「メイが何を考えてるのか知らないけど、一刻も早く無茶をやめさせるべきね」

「あたし、メイさんに会ってみるよ」

「……え?」

「もしかしたら、あたしがメイさんに嫌な思いをさせちゃったのかもしれないんだ。……だから、もしあたしのことが嫌いでも、みんなと一緒に戦ってくれるように頼んでみる。メイさんのために!」

「キュアピーチ……」

 

ラブに続いて立ち上がる美希、祈里、キサナ。

だが、キサナの動きが突然止まった。

 

「キサナちゃん?」

「……ダークルンの反応です!」

「「「!」」」

 

その頃、メイは一足先にキイマジンがいる場所へと向かっていた。

 

『待ってください、メイ!』

「待てないよ。被害が出る前にキイマジンを倒さなきゃ」

『それは、そうですが……』

「桃園さんたちを待ってる暇なんて、無い」

 

夕闇の中を、独り駆け抜けるメイ。

 

(私に仲間はいらない。これまでも、これからも、一人で戦うプリキュア。……そう、玉座を守る王は一人で十分なのだから)

 

 

***

 

 

建設途中の高層ビルが立ち並ぶ再開発地区。

吹きすさぶ風の中をやってくるメイ。

四方をビルに囲まれた作業場で足を止める。

 

『メイ、キイマジンです!』

「!」

 

ズシン。

大地が揺れ、周囲のビルの窓ガラスが激しく波打つ。

よろめくメイの手前。建物の向こうから、巨大な影が姿を現す。

 

「……わぁお」

 

身の丈20メートルは優に超える、鋼の大巨人が端子を見下ろしていた。

 

『イニシャルT。タイタンです!』

 

直径5メートルは下らない、超巨大な鎖つき鉄球を振り回すタイタン。

 

『グィィィィィィィ!!』

 

その叫び声が周囲のビルに反響し、窓ガラスが悲鳴を上げる。

 

「うるっさっ! 今すぐ黙らせてほしいみたいだな!」

 

リングルンを起動し、プリキュアに変身するメイ。

 

「チェインジプリキュア・クロスオーバー!」

 

放たれる鉄球。

紅いマフラーをなびかせ、真上にジャンプするグレイブ。

背後にそびえるビルの根元に鉄球が炸裂し、一瞬にして瓦礫の山と化す。

 

「こんな奴、野放しにしておくわけにはいかないね!」

 

宙返りして向かいのビルの壁面を蹴り、タイタンの頭上へ跳ぶグレイブ。

 

「大気反転!」

 

リングルンが輝き、グレイブフィールドが展開されようとした瞬間――。

 

『キイマジン反応! 急速に接近!!』

「――っ!?」

 

突風とともに、猛烈な勢いでグレイブに迫る影。

不意打ちを喰らい、ビルの谷間へと墜落するグレイブ。

立ち込める土煙の中、空を仰いだグレイブの視界に巨大な鳥のような姿が映る。

 

『識別。イニシャル、Hです!』

「くっ……」

 

白、茶色、黒の斑模様の民族衣装に身を包んだ女性。

腰から巨大な鳥の翼が伸び、細く長い足の先には鋭いカギ爪が伸びている。

 

「私の名はハーピー・ロメア、ダークルン四姉妹が次女。 ゆうべは妹が世話になったみたいじゃないか、ん?」

 

土ぼこりを払い、立ち上がるグレイブ。

 

「不意打ちとはまた、ずいぶん味な真似をしてくれるね」

「不意打ち? 私の速さにお前がついてこれなかっただけのことさ」

『メイ、二対一では不利です。一時撤退を』

「……それはどうかな」

『メイ!』

 

ビルの鉄骨を足場にし、二段ジャンプでハーピーに飛びかかるグレイブ。

しかしハーピーはその拳を難なくかわし、さらに天高く舞い上がる。

 

「!」

「お前に私が捉えられるものか! 喰らいなッ!」

 

ハーピーが右手を掲げると、虚空から紺碧の弓が出現する。

空中で無防備となったグレイブに向け、弓を引くハーピー。

 

「大気、反て――」

 

左腕を掲げ、再びフィールドを展開しようとするグレイブ。

 

「――っ!?」

 

ウィッチの攻撃を受けた左肩が痛み、一瞬動きを止めるグレイブ。

ハーピーの弓から放たれた見えない矢が、グレイブの脇腹を打ち抜く。

 

「あうっ!」

 

真っ逆さまに落下するグレイブ。

 

「ふふ。どうだい、“空気の矢”の味は」

 

地面に叩きつけられ、激痛にもがくグレイブにタイタンが迫る。

 

「ぐっ……!」

「やっちまいな、タイタン」

『グィィィィィィィ!!』

 

グレイブの真上から鉄球を振り下ろすタイタン。

轟音とともに大地が割れ、建物から資材が落下し、窓ガラスが一斉に砕け散る。

タイタンが陥没した地面から鉄球を引き抜くと、その下からグレイブの姿が現れる。

 

「ぐっ……はう……っ」

「はは、丈夫なヤツだ。……タイタン!」

 

再び鉄球がグレイブの直上に振り下ろされる。

震動に耐え切れなくなった建設途中のビルが、地鳴りとともに崩れ去る。

鉄球を手繰り寄せるタイタン。

土煙が晴れると、土砂と瓦礫に埋まったグレイブが見える。

 

『メイ! メイっ!!』

「…………」

 

さしものキュアグレイブも、ダークルン最強の剛力を持つタイタンの攻撃を二度もまともに受け、そのダメージは極限に達していた。

頭に直接響くキサナの声ですら、今のグレイブには遥か遠く、微かに聞こえるのみ。

薄れゆく意識。霞みゆく視界の中で、タイタンが三度鉄球を振り上げるのが見えた。

 

『メ――――イっ!!』

「トドメだ」

 

その時――。

 

「待ちなさいっ!!」

 

吹きすさぶ風が、一斉にその動きを止めた。

闇に沈もうとしていたグレイブの意識に、光が差す。

 

(桃園……さ……ん?)

 

倒壊をまぬがれたビルの屋上、月を背負って立つ三つのシルエット。

 

「お前たち……まさか!?」

『……プリキュア!!』

 

その名を冠する者。

全ての世界、全ての人々の幸せを守るために、今。

遥かなる時を越えて蘇った、伝説の戦士。

 

「ピンクのハートは愛あるしるし! もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!!」

「ブルーのハートは希望のしるし! つみたてフレッシュ、キュアベリー!!」

「イエローハートは祈りのしるし! とれたてフレッシュ、キュアパイン!!」

「――レッツ!」

「「「プリキュア!!」」」

 

瓦礫の中で上半身を起こすグレイブ。

 

「くっ……」

『メイ! プリキュアが! プリキュアが来てくれました!』

「プリキュア……?」

 

苦痛に顔を歪めながら、搾り出すように叫ぶグレイブ。

 

「手を出すなッ!!」

「メイさん!?」

「これは……私の戦いだッ!!」

「ちょっと、そんなこと言ってる場合!?」

「ここは、わたしたちにまかせて!」

「メイさん、今いくよ!」

 

グレイブのもとへ飛ぶピーチ。

二人を守ってキイマジンの前に立ちはだかるベリーとパイン。

 

「プリキュアは一人じゃないのよ!」

「これ以上、メイさんに手出しさせない!」

「……かつてお前たちに封印された因縁、ここで晴らしておくのも悪くはないか。タイタン!」

『グィィィィ!』

 

両者の激突を背に、グレイブの側に着地するピーチ。

 

「メイさん!」

「……来るな!」

 

再びグレイブの口から発せられる、拒絶の言葉。

それを受け止めながら、自分の心のままの言葉を投げかけるピーチ。

 

「……メイさん、あたしのことが好きじゃないなら、……キライなら、それでもいいよ。だから、お願い。メイさんのこと、あたしの大切な人のことを、この手で守らせてほしいの」

「…………」

「そのためにあたしは、プリキュアになったんだもん」

 

風が二人の髪を揺らして吹き抜ける。

 

「……キライなんかじゃ、ない」

「……メイさん……?」

「私は、桃園さんを尊敬してる。いつも元気で、優しくて、すごく強い。……私のこと、何度も助けてくれた」

「…………」

「桃園さんは言ったよね。……私は、桃園さんにはなれない。私には、私の道があるって」

 

俯き、両手の下の土砂を握り締めるグレイブ。

 

「……でも、私はなりたかった。桃園さんみたいに、母さんみたいに、強く、優しくなりたかった。……だから、プリキュアになった」

「…………」

「なのに……それなのに今、桃園さんに助けられたら」

 

グレイブの、メイの声が震える。

 

「……私は結局、私のままじゃないか!」

 

その瞳から、涙が零れ落ちる。

 

「私は……私は!」

 

瓦礫を押しのけ、よろよろと立ち上がるグレイブ。

足がもつれ、前のめりに転倒する。

 

「くっ!」

「メイさん!」

 

なおも懸命に立ち上がろうとするグレイブに、ゆっくりと歩み寄るピーチ。

その傍らに、寄り添うように膝をつく。

 

「……あのね、メイさん」

「…………」

「あたしがあたしでいられるのは、支えてくれる人たちがいるから」

 

ピーチの眼差しを受け、強くうなずくベリーとパイン。

 

「誰だって、自分ひとりで完璧になんてなれないわ」

「自分を信じる心。そして、誰かを信じられる心」

「それがあたしたちの強さ。それがプリキュアのあかしなんだよ」

「プリキュアの……あかし……」

 

グレイブに手を差し伸べるピーチ。

 

「だからいっしょに戦おう、メイさん。……みんなの幸せ、あたしたちの幸せ、ゲットするために」

「…………」

 

涙をぬぐい、ピーチの手を借りずに立ち上がるグレイブ。

 

「メイさん」

「……今の私は、メイじゃない」

 

ピーチに背を向け、キイマジンを見やる。

 

「冥府を望む玉座、キュアグレイブ。……足手まといはお断りだからね? キュアピーチ」

「……うん! よろしくね、キュアグレイブ!!」

 

満面の笑顔でうなずくピーチ。

背中越しにその声を聞き、フッと笑みを浮かべるグレイブ。

ピーチとともに、苦戦するベリーとパインに合流する。

 

「グレイブトンファー!」

 

右手でトンファーを振るい、パインを狙う空気の矢を打ち消すグレイブ。

タイタンに弾き飛ばされたベリーを抱きとめるピーチ。

 

「ありがとう、メイさん……ううん、キュアグレイブ!」

「まったく、頑固なんだから。……そういうの、キライじゃないけどね」

「よーし、みんなの力を合わせるよ!」

「うん!」

「ええ!」

「わかった!」

 

並び立つ四人のプリキュア。

 

「あれだけ痛めつけたのに、元気なヤツだねぇ。そんなにトドメを刺してほしいのか?」

「言っておくけど、トドメを刺されるのはそっちだよ。……大人しく降参すれば、痛くないようにロックブレイクしてあげるけど?」

「……ほざけ。 タイタン、捻り潰せ!」

『グィィィィィィ!』

 

巨大な鉄球を凄まじい速度で振り回すタイタン。

 

「お前たちが何人集まろうと、タイタンの剛力と私のスピード、そのどちらにも遠く及ばない!」

 

身構える三人のプリキュア。

トンファーを携え、一歩前に出るグレイブ。

 

「……グレイブ?」

「ハァッ!」

 

グレイブの手からトンファーが投擲される。

回転し、タイタンを目がけて飛んでいくトンファー。

 

「ハッ、そんなモノがタイタンに効くとでも――」

 

緩やかにカーブし、トンファーはタイタンの手元へ向かう。

そしてタイタンが振り回す鉄球の、『鎖』を粉砕した。

 

『グィ!?』

 

放り出された鉄球は、遠心力にまかせて宙を舞い――。

 

「何だとッ!?」

 

――傍らで滞空していたハーピーを直撃する。

 

「ぐあああああああああッ!!」

 

ハーピーもろとも、背後に建つビルの最上階に突っ込む鉄球。

床をぶち抜きながら、最下層まで落下する。

 

『グィィィィ!?』

 

戸惑うタイタンを三方から取り囲むピーチ、ベリー、パイン。

 

「「「悪いの悪いの飛んでいけ!」」」

「プリキュア・ラブ・サンシャイン!!」

「プリキュア・エスポワール・シャワー!!」

「プリキュア・ヒーリング・プレアー!!」

 

プリキュアのエネルギーを放射され、キイマジンを構成するダークルンのエネルギーが対消滅していく。

光に包まれて動きを止めるタイタン。

 

「グレイブ!」

 

タイタンの頭上へ跳んだグレイブの手に、大きく弧を描いてトンファーが戻る。

 

「ロックブレイク!!」

 

タイタンの額にトンファーが突き刺さり、光のリングが幾重にも広がる。

 

『グィィ……ィ』

 

砕け散り、クレーン車の姿に戻るタイタン。

瓦礫と鉄球の下敷きになり、身動きできないハーピーに近づくグレイブ。

 

「ふ……ふ。まさか、この私がお前たちごときに負けるとはね」

「仲間の存在は、時に命取りになるってこと。……肝に銘じておくよ」

 

ハーピーの肩口をトンファーで突き、ロックブレイクするグレイブ。

キイマジンは消滅し、宿主の姿へと還る。

グレイブの手のひらでさえずる一羽のスズメ。

 

「おや、かわいい」

「スズメさんだったのね」

「……災難だったわね、あなたも」

 

瓦礫の山となってしまった作業現場に立つ四人の少女。

 

「さて、みんなは早く帰らないと。……家族が心配するよ」

「ねえ、メイさん」

「ん?」

「……久しぶりに、いっしょに夕ご飯食べようよ」

「え……」

 

ラブからの突然の提案に目を丸くするメイ。

 

「昨日の夜、話し合ったのよ。みんなでメイの家に遊びに行こうって」

「もちろん、キサナちゃんもいっしょよ」

『いいですね。たまにはメイの手料理以外も食べないと、味覚がおかしくなりそうですし』

「だまらっしゃい! ……でも、いきなりそんなこと言われても」

「メイさんの都合が良くなかったら、迷惑だったら正直に言って。そしたら、また今度にするよ」

「いや……」

「気にしなくったっていいんだよ。あたしたち、友達なんだから、ね?」

 

ラブの笑顔を受け、俯いて口ごもるメイ。

 

「わ、私は……別に、いいけ……ど」

「ホントっ!?」

 

メイの両手を握り、顔を寄せるラブ。

 

「う!」

 

間近でラブと向かい合い、メイの脳内が一瞬白く飛ぶ。

あわてて手を振りほどき、三人に背を向けるメイ。

 

「きょ……今日だけは、特別に許可する」

「「やったぁ!」」

 

笑顔でハイタッチするラブと祈里。

 

「なんでそんなに偉そうなのよ」

「あいたっ」

 

メイの正面に回り、額を指で弾く美希。

 

「さ、遅くなる前に買い物に行きましょ!」

「待っててね、キサナちゃん!」

『はい!』

「そうだ。タルトとシフォンも連れてこようよ。ね!」

「こ、こら……みんな、置いてかないでよぉ!」

 

勢いよく走り出した三人を追いかけるメイ。

真っ白な月と瞬く星々が、彼女たちの進む道を照らし出している。

 

 

 

 

 

                                     つづく

 

 

******

 

 

次回のフレッシュプリキュア! クロスオーバーは

『祈里とメイ アニマルキイマジンを追え!』をお送りします。お楽しみに!

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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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No title

ピーチたちが登場した瞬間にセーラームーンがみえry
戦闘模写って難しいんですよね
それをここまでやってしまうのはやっぱりすごいと思うんです
うん。すばらしく男前なラブさんにはメイもたじたじですねw
顔を真っ赤にしてるのが想像できた気がします


次回 メイブキ…だと!?

仲間と共に戦うとき、グレイブは狭間の存在から真の『プリキュア』へと変わる。
戦闘描写が多過ぎるのもプリキュアらしくないので、できるだけ簡潔に、絵が想像しやすく書ければと思っています。
この先、ラブたちとメイとの交流が中盤の軸になっていきますので、お楽しみに。
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Author:ヤネ
フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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