クロスオーバー! フレッシュプリキュア!クロス†フューチャー WW編・チャプター①

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フレッシュプリキュア!クロス†フューチャー WW編・チャプター①

魔界展開!

フレッシュプリキュア!クロス†フューチャー ~イニシャルWW編~
チャプター1『魔界展開!』




『魔人キラーが現れなくなった?』
「そのようだ。あちらの事情は知るべくもないが」
 四つ葉市の山間部にひっそりと佇む廃プラネタリウム。ここは邪悪なるN2魔人たちの根城と化していた。
 黒いスクリーンを背景に、白い髪と肌、衣装が鮮烈に浮かび上がる。美しき青年の姿をしたこの魔人が彼らのリーダー、イニシャルEE≪エネミーアース≫である。
 鍵の形をした小さな妖精――2体の≪N2ダークルン≫が彼に語りかけた。
『それで今日は珍しくVVが張り切って出ていったってわけ。あの子、めっちゃびびってたものねぇ』
『わかりやすいというか、調子がいいというか、逆に尊敬するぜ! シュププププププ!』
 N2魔人にとって幼態ともいえるダークルンのままで会話が行えるという事実は、彼ら2体がEEと同じく高位に君臨するエグゼクティヴ級魔人であることを示していた。
『俺様たちも早いところ暴れ回りたいもんだぜ』
「すまないな。あともう少しだけサクリフォースが回収できれば、お前たちも魔人になることができるのだが」
 EEは貯蓄量を示すメーターを苦々しく見つめながら言った。
『私は星でも見ながら気長に待つわよ。人間もなかなかシャレたものを作るじゃない。ねぇ、RR?』
『まったくおめぇはお気楽極楽だな、AA!』
 2体のダークルンはくるくると螺旋を描きながら薄暗いドームの中を飛び回った。
「そういえば、BBの姿が見えないが」
『おっさんなら、またあの小娘んとこだよ』
『好きよねぇ』
 EEは額に手をあてて嘆息した。
「まったく困ったものだ。我々の“頭脳担当”ときたら――」



 四つ葉市の南、クローバーヒル。
 市の中心部を見下ろす丘陵に、一際高くそびえ立つ白亜の城郭がある。
 私立天十字学園。
 しかし、生徒たちの活気で溢れるはずの放課後、学園周辺は異様な気配に包まれていた。
 意識を失った生徒たちがあちこちに倒れ、その頭上では赤い染みに侵されるかのように空が変色していく。
 500人の生徒と5階建ての校舎を丸ごと呑み込んだ特殊空間、その名は――≪魔界≫。

「転界(展開)完了。さあ人間ども、サクリフォースをよこすでち!」
 学園で最も高い場所、時計塔の上に立つ赤い肌の少女。
 彼女が掌を天にかざすと、眠る生徒たちの影の中から黒い十字架が一斉に立ち上がった。
 磔になった生徒の体からどす黒いオーラのようなものが発散されていく。その光景を見下ろしながら、少女は艶かしく舌なめずりをした。
「ちゅっちゅっちゅ……活きのいいやつがいっぱい採れそうでち」
「そこまでよ! N2魔人!」
「む!」
 少女の振り向いた先、校舎の屋上に白い装衣をまとった戦士が立っていた。

「渦巻く銀河、勇者のサーガ。キュアブレイブ、ファイティング・フォー・トゥモロー!」

 天十字学園中等部2年生、黒須イフ――またの名を、勇者キュアブレイブ。
「現れたでちね、プリキュア。けど、今宵キミの相手をするのは天下のエグゼクティヴ級魔人。イニシャルVVこと≪ヴァニティヴァンパイア≫様でちよ!!」
 名乗りとともに魔人の背中についた翼のようなものが分離し、高速回転する2枚のブーメランとなってブレイブに襲いかかった。
「引きつけて……跳ぶっ!」
 左右から挟み込むように迫るブーメランをギリギリで避け、ブレイブは真上にジャンプした。ブーメラン同士が掠め合い、火花が散る。
「“ヴァリアブルヴァルチャー”!」
 VVの意思に応じてブーメランが形状を次々と変化させていく。空気抵抗を操作し、常に軌道を変えながら標的を追いつめていくのである。
「そうくるなら、こっちだって!」
 ブレイブもまた、装衣各部からエネルギーを噴射して変幻自在の空中機動を行い、ブーメランを拳や蹴りで弾き返した。
「流石にやるでちね。しかし、ヴァニの本当の恐ろしさは……これからでちよ」
 着地したブレイブの背後で屋上のドアが勢いよく開いた。
 雪崩れ込むように現れたのは学園の生徒たちだ。
「えっ……!?」
 男女合わせておよそ20人。
 彼らの目は虚ろで、顔色も生気を失っている。そして首筋には一様に、怪しげな輝きを放つ“VV”の紋章が浮かび上がっていた。
「ヴァニのキスで虜になった子たちでちよ。どうやら、キミのこともファンクラブの一員に加えたいみたいでちねぇ」
 時計塔の屋根に腰を下ろし、悠然と頬杖を突きながらVVはニヤリと笑った。
「そんな……目を覚まして、みんな!」
「無駄でち。これぞヴァニ様の魔毒菌“ヴィーナスヴィールス”の威力でちよ」
 肌にVVの口づけを受けた生徒はヴィールスの媒介となり、同様の行為でさらに被害者を増やしていく。数人分のキスを喰らえばプリキュアとてただでは済まないだろう。
 操り人形となった生徒たちはブレイブを取り囲み、じりじりと輪をせばめてくる。
(皆と戦うわけにはいかない。……だったら、先に!)
 ブレイブはVVの死角となる位置でダークルンを召還し、瞬時にマニューバーモードを発動した。
「マニューバーH! ブレイブアロー!」
 左腕のオーブから展開した光の弓に、右腕のオーブから生成した光の矢をつがえ、VVに向けて放つ。
しかし、
「――“ヴェルティゴヴォイド”」
 呟きとともにVVの姿が半透明になったかと思うと、ブレイブアローは彼女に当たることなくその体をすり抜けていった。
「逆らうのはやめた方がいいでち。なんなら、この屋上を紐なしバンジー選手権の会場にしてあげてもいいんでちよ」
「卑怯なことを……!」
「卑怯もニンニクもないでち! さあ観念しろ!」
 ブレイブが窮地に追い込まれる一方、階下で十字架に囚われた生徒たちもまた危機に瀕していた。≪サクリフォース≫の放出が長時間に及べば、生命に関わることになる。
 ≪サクリフォース≫とは、魔人が他の生命体から抽出・吸収するエネルギーのことを指す。あらゆる世界にとって異物である魔人は、このエネルギーが無ければその肉体を維持することができないのだ。
 そのためN2魔人は人口密集地を狙って≪魔界≫を展開し、捉えられた生命体の意識と体の自由を奪う。プリキュアのように対抗する力を持たない限り、≪サクリフォース≫を吸い上げられるだけの――文字通り生贄と化してしまうのである。
「サクリフォースを吸い取られてるみんなだけでも、すぐに助けないと……キサナ!」
 ブレイブはパートナーである人工妖精のキサナに呼びかけた。
 耳のデバイスに手を添えて通信を試みるが、返答は一向にない。
 いつもなら、どんなに離れていてもコンマ数秒で反応してくれるのだが……。
「無駄でちよ。頼みのキサナちゃんは、ヴァニが用意した刺客の餌食になっている頃でち」
 その言葉はハッタリではなかった。同時刻、跳次元通信すら届かない虚数空間にて、キサナは恐るべき2体の魔人に挟撃を受けていたのだ。
 VVの両面作戦はキュアブレイブとそのパートナーを完全にその手中へと収めた。人類はこのまま、魔人の生贄となってしまうのだろうか――?



 ほんの少しだけ時を遡ろう。
 ブレイブとVVの戦いが始まる直前、校庭の片隅から赤く染まりゆく空を見上げる一人の女生徒がいた。
「また魔界か」
 そう呟いた彼女は他の生徒と違って意識を失うことはない。なぜなら、彼女もまた魔人だからである。
 暗黒淵 王(やみわだ おう)。プリキュアの変身アイテムに巣食った邪悪な意思から生まれた、サクリフォースを必要としない唯一の魔人。
 彼女の毒々しくも神秘的な紫の肌が白一色の制服に映えるとき、どこか背徳的なコントラストが生じる。そこに釘付けとなっているひとつの視線があった。
「相も変わらず、脳が痺れる美しさよ……」
 視線の主は怪しげな中年男だった。
 ヒゲ面にサングラス。明らかに学園の関係者ではない。茂みに身を潜めてはいるものの、あまりの巨躯ゆえに下半身は完全に外へはみ出してしまっている。
 王を見つめるその息づかいは荒く、顔にはじっとりと汗が滲んでいた。
「今日こそは、貴方に私の思いを伝え……えべぇえええっ!?」
 男の巨体が茂みを飛び出して宙に浮かんだ。
 薄紅色に光る触手のようなものが彼を捕縛している。それは、王の腰から伸びていた。
「独り言は聞こえないように言え」
 振り向いた王はうんざりした様子で言った。
「ク、クイーン……」
「またお前だ。おしおきが欲しいのか?」
「是非にっ! ……ではなく!」
 男は顔を縦横にせわしなく振りながら叫んだ。
「あなたにお願いがっ!」
「……お前たちN2魔人の王となって人間と戦え、というのだろう?」
 胴体をきつく締め上げられながらも、男は強く頷いた。
 このような醜態を晒してはいるが、この男もまたエグゼクティヴ級魔人のひとり――イニシャルBB≪ブレインベアー≫なのである。その高い戦闘能力をあえて封印し、攻撃されるがままに身を晒しているのは、彼が王に心酔しているからだ。
 最初は単なる“プリキュアのシステムから生まれた魔人”への興味だった。しかし分析を進めるうち、彼女の何者をも寄せつけない強さ、美しさ――そして何より、誇り高い生き方に――魔人の未来を導く女王の器を、BBは見出したのだ。
「確かに、お前たちを統べる者は私をおいて他にいまい。だが、私は魔人の王である以前に、あらゆる世界の頂点に立つ王だ。私の領地を害そうというのならば、容赦せん」
 触手の力がさらに強まり、BBはうめき声を上げた。しかし、それも引き下がることはなかった。
「魔人を滅ぼし、人間を守るとおっしゃるのですかっ!」
 その言葉に、王の瞳がギラリと光った。



「マニューバーK! ブレイブリストリクション!」
 ブレイブが背負うミラージュサークルから帯状のエネルギーが何本も伸び、VVに操られた生徒たちをまとめて拘束する。
 攻撃できなくとも、こうすれば動きを封じておくことは可能だ。
「ちょっとの間、我慢してね」
「ふふん。考えたでちね。……しかーし」
 生徒たちの体からどす黒いオーラが放たれ、エネルギー帯を瞬く間に消滅させた。
 サクリフォースを同調させ、破壊エネルギーに変換したのである。
「そんな……!?」
「ちゅちゅっ。ひとりひとりから発生する量は少なくても、偉大なヴァニたちのエネルギー源でちからね。束ねればごらんの通りっ」
 このままではVVに操られている生徒たちの生命も危ない。が、しかし、彼らが人質となっている以上、ブレイブは魔人に手を出すことができない。
「さあ、そいつらのキスでキミもヴァニのファンになるでちよ!」
 いよいよブレイブまでもが“ヴィーナスヴィールス”の毒牙にかけられようとした、その時――、

「音です!!」

 勇ましくも可憐な声が、澱んだ魔界の空気を吹き払うかのように駆け抜けた。
「な……っ!?」
 校庭の真ん中にひとりの少女が立っている。小柄で華奢な体格ながら、両腕を組んだ姿には風格すら漂う。
 天十字学園中等部の制服に身を包む、魔界に抗う力を備えた少女――そう、彼女もまた、人間とは異なる存在だった。
「キミは、死んだはずでちよ!?」
「死んでません」
 キュアブレイブのパートナー、千年を生きる人工妖精キサナドゥ。
「生徒を操っているのはコウモリのそれに似た超音波です。音には音、あとはわかりますね?」
「ありがとう、キサナ!」
 キサナのアドバイスを受けてブレイブは≪ダークルンS≫を召還、腰のリングルンMXに装填する。
 VVは納得がいかない様子で地団太を踏んだ。
「ええい、こんなのおかしいでち! キミには腕利きの魔人を二人も差し向けたはずでちよ!?」
「彼らなら今頃、三途の川の渡し賃で揉めていることでしょう」
 煽るでもなくキッパリとキサナは言った。
「んなアホなっ。≪ヒートヘイズ≫と≪スノーストーム≫、最強の冷熱コンビがキミごときに倒されたと?」
「妖精がプリキュアよりも可憐で弱々しくなければいけないという決まりはありません」
 キサナの周囲に26体のダークルンの幻像が曼荼羅のように浮かび上がり、VVを威圧する。
「バ、バカ! チビ! 生意気っ!」
 寒気を感じて飛び退きながら、VVは精一杯の罵倒を浴びせかけた。しかし、そんなものがキサナに響こうはずもなく――。
「マニューバーS! ブレイブホーン!」
 ダークルンに封じられた魔人の力が解放され、ブレイブの腕のオーブを通じて武器を生成する。
 その外見こそ単なるオレンジ色のメガホンだが、ブレイブの声を増幅する指向性音波砲の完成である。
「や、やばいでち!」
 危険を察知したVVが再び体を虚無化する。が、二度同じ手に引っかかるブレイブではなかった。
「マニューバーI! ブレイブリアライズ!」
 Sと同時に装填した≪ダークルンI≫の力がVVの体を強制的に実体化する。
「あ、ちょっと、そういうことしちゃう……」
 無防備となったN2魔人を前に、ブレイブは大きく息を吸い、肺を限界まで空気で満たした。

「未来、キタ―――――――――――――――――――ッ!!!」

 一点に絞って発射された音の波は、全身をハンマーで打ちのめされたような衝撃をVVに与えて吹き飛ばした。
 同時に生徒たちも指令音波から解放され、ばたばたと倒れ込んでいく。
「きょ……っ、今日のところは撤退でち!」
「あっ、待てーっ!」
「うぎー、耳がキーンとして何も聞こえないでち! とにかく覚えてろでち!」
 飛び去るVVを追撃しようとするブレイブだったが、それを制止したのはキサナだった。
「待ってください、イフ。ヴィールスに侵された生徒の治療が先です」
「あ、そっか……」
「魔人のコントロールから解放された今なら、ユニコーンの力で治せるはずです」
 ブレイブはマニューバーUを発動し、生徒たちの体から魔毒菌を取り除いていった。
 魔人が撤退すれば魔界も消失する。サクリフォースを吸われていた生徒たちもすぐに意識を取り戻すだろう。今日もまた、学園の平和は守られたのである。
「今回もキサナに助けてもらっちゃったね」
「いえ、あそこでマニューバーIを使った機転は見事でした。イフは着実に成長していますよ」
「へへ~、そうかなぁ」
 姉のような存在であるキサナに褒められ、ブレイブは照れ笑いを浮かべた。
「でも、二人組で襲ってきた魔人を返り討ちにしちゃうなんて、キサナは本当に強いんだね」
「なんてことはないですよ。チームワークが穴だらけだったから、ちょっと誘導して相討ちにしてあげただけです。虚数空間とやらの解析も、そう時間はかかりませんでしたしね」
「はぇえ~……」
 ブレイブ=イフにとっては幼い頃から一緒に暮らしてきたキサナだが、プリキュアとパートナー妖精という関係になって以来、今まで知らなかった彼女の凄さをいつも実感させられるのだった。
「それはそれとして」
「ん?」
「確かに今の私は、女子中学生の平均身長からすればやや小柄と言えるかもしれません。しかし、この姿はあくまでアバターですから体格の良し悪しは戦力に関係ありませんし、サポートが本分である以上、むしろボディはコンパクトなほど有利な局面が多いです。イフもそう思いますよね!」
 堰を切ったような早口でまくしたてるキサナに、ブレイブは冷や汗を垂らしながらこくこくと頷いた。

(わりと効いてる……)



「魔人を滅ぼし、人間を守るとおっしゃるのですかっ!」
 絞り出すような声でBBは叫んだ。悲しみと祈りを込めた、彼の偽らざる思いだった。
「なんだと?」
 王の瞳が鋭く光る。
 その迫力にBBの巨体が縮み上がった。
 しかし、次に王が発した言葉は、彼の思いもよらないものだった。
「人間も魔人もない。お前たちはみな、私の民だと言っているのだ」
 王の表情は確かに険しかったが、それは怒りではなく、彼女の決意と覚悟の重さを意味していた。
 サングラスの下から熱い雫が零れ落ち、ヒゲの上で弾けた。
「ク、クイーン……」
「わかったら帰れ、ヒゲフグ!」
 触手が大きくしなり、BBを投げ飛ばす。
「おお、クイーン……私は……私は……」
 大粒の涙を溢れさせながら、魔人は赤い空へと吸い込まれていった。
 やがて、空の色が赤から青へと変わり始める。魔界が収束していくのだ。
 魔人の力は強力だが、彼らの作り出す世界はあまりに儚く、虹のように消え去って誰の記憶にも残らない。
 赤と青の入り混じる空の下で、王はひとり佇んでいた。
「私にはどうしても叶えたい夢がある。……イフ、お前の勇気をわけてほしい」
 そう呟いた王は、誰にも見せたことのない、一人の不安げな少女の顔をしていた。


チャプター2につづく>



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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:ヤネ
フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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