クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第8話

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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第8話

今回は『フレッシュプリキュア!』第15話くらいの時間軸です。


******


いつもの公園。
ダンスレッスンの合間、休憩中のラブ・美希・祈里のもとへやってくるメイ。

「こんにちは」
「メイさん!」
「どうしたの? カメラなんか持って」
「近況報告代わりに、母さんに写真を送ろうと思ってるんだ。それで……よかったら、みんなを撮らせてもらえないかな?」
「……あたしたちを?」
「うん……」

首から提げたカメラに視線を落とすメイ。

『私が提案したんです』
「……キサナちゃん?」

リンクルンとリングルンを通じ、キサナの声が響く。

『メイの母親に、みんなのことを紹介しようと』
「母さん、何だかんだ言って私のこと心配してるんだよ。……私、友達作るのとか、昔っから苦手だからさ」

勢いよく立ち上がり、胸を張るラブ。

「大丈夫だよ! メイさんにはあたしたちがついてるって言ったでしょ!」
「メイさんに写真を撮ってもらえるなんて、ちょっと楽しみ」
「カンペキに決めるから、シャッターチャンス逃さないでよ?」

メイに向けてウィンクやガッツポーズをし、レッスンに戻っていく三人。
ファインダーを覗き込み、その姿をフレームに捉えるメイ。

「……みんな、ありがとう」

その優しさを焼きつけるように、シャッターを切る。



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第8話『メイの笑顔! グレイブの新しい力!!』



レッスン後、ドーナツカフェに集まった四人。
囲んだテーブルの上に乗る、タルトとシフォン。

「グレイブはん、久しぶりやなぁ。元気やったか?」
「タルトさんこそ、元気そうで何よりです。シフォンちゃんも、久しぶりだね」

シフォンに顔を近づけ、挨拶するメイ。

「キュアァ……」
「ん?」
「キュア~~~~~~!!」

突如、大声を上げて泣き始めるシフォン。

「あ……」
「キュア、キュアァ~~~~~~!!」
「よしよしシフォン、どうしたの~~? メイさん久しぶりで、びっくりしちゃったのかな~~?」
「ええっ……」

シフォンをあやすラブの隣で、呆然とするメイ。

「……っていうかメイのこと、すごく怖がってるような……」
「めい、こぁい~~~~!!」
「そ、そんなぁ……」

半泣きでテーブルの下に身を隠すメイ。

「相変わらず、メイに馴れる気配が無いわね……」
「メイさんと初めて会った時から、ずっとこうよね」
「確かにあの時は、私も気が立ってたけどさ……」
「何か特別な原因があるんじゃない? 例えば……」
「例えば?」

メイの左半面を覆う黒髪を指差す美希。

「その前髪……とか」
「ええ!?」

物は試しと、美希から借りたカチューシャで前髪をアップにするメイ。

「いい感じじゃない」
「けっこう似合ってるよ、メイさん」
「そ、そう? よーし……これならどうだ、シフォンちゃん!」

シフォンに向かい、ウィンクしてみせるメイ。

「キュアァ~~~~~~!!」
「あ~~~……よしよし、シフォン。怖くなーい、怖くなーい」
「ダメみたいね」

カチューシャを外し、肩を落とすメイ。

「はぁ……」
「もしかして、服装が原因なんじゃないかしら?」
「いつも黒い服ばかり着てるしね……」
「メイさん、レッツお着替えだよ!」
「わ……わかった!」

今度は祈里の提案に従い、いつもの黒いセーラー服から四つ葉中指定の制服に着替えたメイ。

「メイさん、なんだか新鮮!」
「あたしのじゃサイズが合わないかなって思ったけど、大丈夫そうだね」
「よ、よし……これならどうかな、シフォンちゃん?」

シフォンの方を振り返り、ポーズを決めるメイ。

「キュアァ~~~~~~!!」
「あ~~~……ゴメンねシフォン、怖かったよね~~~?」
「……やっぱり、ダメね」

その場に崩れ落ちるメイ。

「うえぇ……」
「し……しっかりして、メイさん」
「もしかして、見た目の問題じゃないのかも」
「どういうこと?」
「例えば、声……とか」
「声!?」
「なんか、このままいくと私の存在自体が否定されかねないような……」
「と、とにかく試してみようよ、メイさん!」

メイの背中に張り付くように身を隠すラブ。

(あたしの声に合わせてね!)
(う……うん)

ラブがしゃべるのに合わせて、口を動かすメイ。

「「こんにちは、シフォン!」」
「キュアァ~~~~~~!!」
「「あたし、メイだよ!」」
「キュアァ~~~~~~!!」
「「…………」」


***


「お手上げね」
「どうしてメイさんを怖がるんだろう……」
『……もしかしたら』
「キサナ?」

それぞれのリンクルンやリングルンに耳を傾け、キサナの声を聞く四人。

『キュアグレイブであることが、原因なのかもしれません』
「それって……」
『グレイブは光と闇のハイブリッド・プリキュア。その変身システムには、ラビリンスと同じ技術も使われています。……シフォンは、それを無意識に感じとっているのでは』
「そっか……それじゃ、仕方ないか」
「メイさん……」

泣き疲れて眠っているシフォンにカメラを向け、ファインダーを覗くメイ。

「あなたの笑顔も、いつかは撮りたいんだけどな……」

寂しげに呟いて、カメラをテーブルに置く。

「笑顔……写真……」
「桃園さん?」

メイの言葉を聞いて、ラブの頭の中にひらめきが浮かぶ。

「いいこと思いついたよ!!」
「え!?」

カメラを手に取るラブ。

「メイさんの写真を撮ろう!」
「……??」
「それって……どういうこと?」
「笑顔だよ!」
「……え?」
「がお?」

三人の頭上に「?」マークが浮かぶ。

「メイさんの心からの笑顔を見せれば、きっとシフォンも怖がらないはずだよ」
「そういう問題かぁ?」
「シフォンが怖がってるのは、その……メイの気配、みたいなものでしょ?」
「だったら、メイさんの表情が変わっても、それは同じなんじゃ……」
「だから、これを使うんだよ」

カメラのレンズがメイに向けられる。

『なるほど、写真ならグレイブの力の波動が伝わることもない……。メイへの恐怖感を取り除くには、有効な手段かもしれませんね』
「要するに、メイさんの写真を見せて、シフォンちゃんを慣れさせるってこと?」
「なるほどなぁ。試してみる価値は、あると思うで」
「ラブにしては、いいアイデアじゃない」
「う~む……笑顔、苦手なんだよなぁ……」
「自然でいいんだよ。ほら、リラックスして」

ファインダーを覗きこみ、メイの顔をフレームに捉えるラブ。

「笑って、メイさん!」
「え……あ……あは、は……」
「そんなぎこちない笑顔じゃダメよ! ……ブッキー、反対側お願い!」
「うん!」

左右から回り込んだ美希と祈里が、メイの腕を固める。

「ちょっと、二人して何を……うひゃひゃひゃひゃ!」
「こちょこちょ!」
「こちょ、こちょ」

猛烈な勢いでメイの腋をくすぐる二人。

「や、やめ……ひひいいい!」
「こら、暴れないの!」
「これもメイさんとシフォンちゃんのためだから……ね?」
「ひゃああああああ!!」

徹底的に急所を責め立てられ、悲鳴を上げるメイ。

「……心からの笑顔て、あれでええんか……?」
「ちょっと違うかも。……ま、いっか!」
「ええんかい!」

メイに向けてシャッターを切るラブ。


***


傾きかけた日差しの中、テーブルに倒れ伏したメイ。

「疲れた……」
「でも、いい写真が撮れたと思うよ?」
「だといいけどさ……」

立ち上がり、カメラを手に取るメイ。

「それじゃ、さっそく現像してくるよ。……明日あたり、みんなにも見せてあげる」
「楽しみにしてるわよ」
「さよなら、メイさん!」
「また明日!」
「気ぃつけてな~」
「みんな、今日は本当にありがとう!」

ラブたちに手を振り、公園を後にするメイ。


***


街灯がともり始めた四つ葉町。
現像された写真を手に家へ向かうメイの行く手に、人だかりが現れる。
クローバータウンストリートの中央、天使像の辺り。

「いったい誰がこんなこと……」
「ほんの一瞬、目を離した隙に消えてたんだぜ? 信じられねえよ……」

見ると、そこにあるべき像が台座を残して消えている。
警察も到着し、現場検証が始まっているようだ。

『メイ!』

(……うん。わかってる)

キサナの指示とリングルンの反応を頼りに走り出すメイ。
空に月が昇る頃、町外れのスクラップ置き場にたどり着く。

「遅かったな」
「……!」

うず高く積まれた廃材の頂点、月光に浮かび上がる何者かの影。

「貴様がキュアグレイブか」

全身を鎧に包んだ絶世の美女。
その背にはまさしく、闇の天使……いや女神と呼ぶにふさわしい、艶やかな黒い翼を備えている。

「そういうお前はキイマジン……ダークルン四姉妹だね」
「如何にも。我が名はバルキリー・ジュカ、ダークルン四姉妹が長女」

バルキリーが手にした長大なランサー、その先端がメイに向けられる。

「ここなら周囲を気にすることもあるまい。存分に貴様の力を見せてみろ」
「ふぅ。全部のキイマジンがお前みたいな性格なら、私も苦労しないんだけどね。……それじゃお望みどおり、見せてあげましょうか」

リングルンにキーを挿し、展開するメイ。

「チェインジプリキュア・クロスオーバー!」

その姿が次元を超え、プリキュアへと生まれ変わる。

「冥府を望む玉座。キュアグレイブ!」

マフラーを翻し、夜空を舞うキュアグレイブ。
バルキリーと向かい合うようにして、スクラップの山に降り立つ。

「イニシャルV、お前を封印する」
「……やってみせるがいい。参る!」

翼を広げ、一直線にグレイブへ突進するバルキリー。

「ハァッ!」

鳴り響く金属音。
ランサーとトンファーがぶつかり合い、火花が二人の顔を照らす。
上体を捻って受け流し、返す勢いでトンファーを水平に振り抜くグレイブ。
半歩だけ身を引いて難なくかわし、すかさず突きを繰り出すバルキリー。

「イァァァァッ!!」
「くっ……!」

大きく身を反らせ、紙一重で避けるグレイブ。
だが、体勢の崩れが生んだ一瞬の隙を逃さず、バルキリーの回し蹴りがその胴を捉える。

「かはっ!」

鈍く重い炸裂音とともに弾き飛ばされ、鉄クズの中へ突っ込むグレイブ。
空気を裂いて飛び、さらなる追撃を仕掛けるバルキリー。

「マニューバーK!」

瓦礫の中で立ち上がるグレイブの左腕、リングルンにダークルンが装填される。

「グレイブ・テンタクルス!!」

グレイブの背にゆらめく真紅のエネルギーマフラーが枝分かれし、孔雀が羽根を広げるように展開する。

「むっ!?」

渦を巻いて伸び、バルキリーの全身を絡め取る紅い帯。

「大気反転!」

左腕を掲げ、フィールドを展開するグレイブ。
動きを封じられたバルキリーを閃光が包み、次元の彼方へと誘う。


***


一方その頃、桃園家。

「楽しみだなぁ、メイさんの写真」
「シフォンも、気に入ってくれたらええんやけどな……」
「キュア?」

首をかしげるシフォン。
と、机の上のリンクルンが鳴る。
手に取るラブ。

「……もしもし?」
『プリキュアの皆さん、緊急事態です!』
「えっ!?」

時を同じくして、美希と祈里のリンクルンにもキサナの言葉が届いていた。

「いきなりどうしたのよ、キサナ!?」
「メイさんに、何かあったの!?」
『桁違いの戦闘能力を持ったキイマジンが現れました。今のグレイブでは、倒すことは不可能です。急いでください……このままでは、メイが』
「わ……わかったよっ! すぐに案内して!」

リンクルンを手に、部屋を飛び出すラブ。

「グレイブはん……」
「キュア?」
「よっしゃ、行くでシフォン。わいらにもきっと何か、できることが!」


***


「はぁ……はぁ」

トンファーを杖代わりにし、辛うじてその場に立っているグレイブ。
無残に引き千切られたミラージュマフラーを再生する余力すら残っていない。

「ティノラとロメアを下したと聞いて、どれほどの相手かと思ったが……期待外れだったな」

対するバルキリーは、まったくの無傷。
両者の力の差は歴然だった。

(グレイブフィールドの中だっていうのに……。こいつは、どれほどの力を持っているっていうんだ?)

グレイブの視界が絶望に歪む。
マニューバーモードとフィールドの連続使用により、今やリングルンの戦闘機能は完全に使用不可となっていた。

(このままじゃ……)

『メイ!』

満身創痍のグレイブの頭に声が響く。
ラブたちを連れ、キサナはスクラップ置き場へ到着していた。
地面に置かれた写真とカメラを拾い上げるラブ。

「メイさん!」
「グレイブはん、どこにおるんや!?」
「メイっ!」

メイを捜して周囲を見回すラブたち。

「メイはいま、次元の壁を隔てた場所で戦っています」
「それってたしか、グレイブフィールド……」

祈里の言葉にうなずき、リングルンに念を送るキサナ。

『メイ、キュアピーチたちが駆けつけてくれています。フィールドを収束させ、こちらの世界へ戻ってください』
「……それは、できない」
『メイ!?』

リンクルンを通じ、ラブたちの所へもグレイブの言葉が届く。

『こいつの強さは半端じゃない。いまフィールドを解いたら、みんな無事じゃ済まないよ』
「メイさん、何言ってるの!?」
「あたしたちの力を合わせれば、きっと勝てるわ!」
『ダメだ!!』
「!」
『こいつをフィールドに閉じ込める』
「でも、それじゃメイさんが!」
『……少なくとも、時間稼ぎにはなるよ』
「メイさん!!」

短い沈黙の後、いつになく明るい声がラブたちの耳へ響く。

『ねぇ、桃園さん』
「メイさん……?」
『そこにある写真、みんなで持っていてよ。……私が友達だった、あかしとして』
「グレイブはん!」
「……いや……いやだよ! メイさん、帰ってきてよ!!」
「冗談じゃないわよ……そんなの、絶対に許さないわ!!」
「メイさぁぁん!!」

ラブたちの叫びも空しく、エネルギーの全てを使い果たして沈黙するリングルン。
同時に、キサナやリンクルンとの通信も断絶する。

「リングルンとの通信……不能に……」
「メイさん……メイさぁん!!」

泣き崩れるラブ。
手にしていた写真が地面に散乱する。

「うっ……うっ……」
「らぶ、なかないで」

うずくまるラブを心配し、傍らに飛んでくるシフォン。
その瞳に、一枚の写真が映る。
……それは、昼間の公園での出来事を切り取ったものだった。

『よし、よし……』

泣き疲れ、ラブの胸の中で眠ってしまったシフォン。

『……メイさんも、だっこしてみる?』
『え? でも……』
『今なら大丈夫だよ。ほら』
『……うん……』

ぎこちない動作で、恐る恐るシフォンを抱き寄せるメイ。

『あったかい……』

強張っていたメイの表情が、次第に安らいでいく。

『かわいいな……』

シフォンの寝顔を見つめ、呟くメイ。

『メイさん、お母さんみたいな顔をしてるよ』
『ほんと、今まで見たことない顔ね』
『えっ……ええ?』

頬を染めて焦るメイ。

『そうだ。記念に一枚、撮ってあげるよ』
『う……うん』

シャッターを切るラブ。
写真に映し出されたのは、少し照れくさそうな笑顔を浮かべるメイと、その胸で眠るシフォンの姿だった。

「メイさん……帰ってきてよ……」
「……め……い……」

シフォンの額が緑色に光る。

「シフォン……?」
「ピップル―――――ッ!!」


***


バルキリーの前に膝をついたグレイブ。
その首筋に、ランサーの先端が突きつけられる。

「さらばだ、キュアグレイブ」

覚悟を決め、目を閉じるグレイブ。

(ごめん、みんな……)

その首を、バルキリーの一撃が貫こうとした――その時。

『キュアキュア、プリップ――――!!』
「なにっ!?」

沈黙していたリングルンが、突如閃光を放った。

「シフォ……ン!??」

眩い光に顔を覆い、後ずさるバルキリー。
輝きの中から、一体の妖精が飛び出す。

『キュイ!』

おしゃぶりをくわえた、小さな緑色のピックルン。

「あ、あなたは……!?」
『キュイ、キュイ!』

グレイブの周りを飛び回り、頭から光を放つピックルン。

「これは……!」

空中に現れるハート型のスクリーン。
そこに映し出されるのは、ラブたちの映像。

『メイさん、帰ってきて!』
『メイ、お願いです!』
『メイ!』
『メイさん!』
『グレイブはん!』
『めい、がんあれ―――――!!』

メイの帰りを願うラブたち、そしてメイを応援するシフォンの姿。

「……ははっ」

グレイブの口から、笑いが漏れる。

「まいったね」

体を震わせながら、ゆっくりと立ち上がるグレイブ。

「これじゃ、帰らないわけにいかないじゃない」

闘志に呼応するように、再び燃え上がるマフラー。

「……フッ」

その様子に、初めて表情を崩すバルキリー。

「それでいい。最後のひとしずくまで、命を搾り尽せ。……全力でかかってこい、キュアグレイブ!」
「私の力なんて、とっくに尽きている。……そう、これはみんなの力。みんなが与えてくれた、絆の力だ!!」

天高く、右手を掲げるグレイブ。
緑色の光となってその手に宿り、キーに変わるピックルン。

「ハァァッ!」

リングルンの鍵穴にピックルンが装填され、展開された中枢部で次元球が唸りを上げる。
途方もない量のエネルギーが放出され、グレイブの身体に向かって収束する。

「ビート・ア―――ップ!!」

光に包まれたグレイブの左半身が、鮮やかなライトグリーンに変わる。
銀の髪が左側だけ黄金色に染まり、プラチナの右目とエメラルドの左目が同時に敵を見据える。

「揺れる真実の影! キュアグレイブ・マスカー!!」

新たに生まれ変わった姿で、フィールドに降り立つグレイブ。

「……フフ、そうだ。そうでなくてはな! 冥府の女王よ!!」

未知なる力を前にして怯むことなく、むしろ嬉々として武器を振り回すバルキリー。
黒い翼を大きく広げ、一陣の疾風となって虚空の戦場を駆ける。

「いざアッ!!」

猛然と迫るバルキリーに対し、静かにトンファーを構えるグレイブ。

「「……ハアアアッ!!」」

真っ向からぶつかり合う両者、二人の戦乙女。

「!? ……!!!」

トンファーの一撃が、ランサーを根元から叩き折った。
次の瞬間、バルキリーのボディに打ち込まれた拳が鎧を粉々に粉砕する。

「ぐあ……は……ッ!!」
「キュアスティック・マスクドトンファー!」

グレイブの声に応え、その左手にもう一振りのトンファーが生成される。

「刻め、黄昏のレクイエム!」

二つのトンファーが交差し、邪悪を冥府へと誘う旋律が流れる。
美しく、そしてどこか物悲しい調べ。

「プリキュア・イングレイブスター……」

全身にエネルギーを纏い、バルキリーに向かって飛翔するグレイブ。

「フレ―――――――――ッシュッ!!」

ブラックとグリーン、二色の閃光となったグレイブが一瞬にしてボディを貫通。
バルキリーを中心とした空間に巨大な光の十字架が描き出される。

「……み、みご……と」

その光景を背に、トンファーを振りぬいた姿で実体化するグレイブ。
両目を閉じたまま、手向けの言葉を呟く。

「……ロックブレイク」
『キィィィィィィィィィィ!!』

断末魔とともにキイマジンの姿が、周囲の空間が、全てが砕け、虚空へと還る。


***


「メイさん!!」

遥か、次元の地平を越え……決まりが悪そうに頭を掻きながら、ラブたちのもとへ帰ってくるメイ。

「……え~っと。ご心配を、おかけ……」

その言葉が終わらないうちに、メイに飛びつくラブ。

「わ……!」

力いっぱい抱き締められ、メイの顔が真っ赤に染まる。

「ちょっと、は、離してよぉ」
「離さないよ。もう絶対にこんなことしないって、約束して」
「桃園さん……」

両目に涙をため、うなずくメイ。

「本当よ! また一人で無茶して!」
「だ、だって……わわわぁ」

美希に頭をぐしゃぐしゃ弄られ、悲鳴を上げるメイ。

「罰が必要よね」
「なっ!?」

穏やかに微笑みながら、やや物騒な言葉を口にする祈里。

「メイのおごりでドーナツ食べ放題というのはどうでしょう」
「あ、それ決定ね」
「はぁ!?」
「やった――――!!」

先ほどまでの様子はどこへやら、キサナの提案に両手を挙げて大喜びするラブ。

「切り替え早っっ!」
「とにかく、よかった……ほんまに、よかった……」

メイたちの足元で、滝のように涙を流すタルト。

「めい~~~~!!」
「シフォンちゃん!」

メイの胸へ飛んでくるシフォン。

「シフォンちゃん……私が怖くないの?」
「キュア、キュア♪」
「……あははっ……よかった!!」

満面の笑顔で抱き合うシフォンとメイ。

「メイの気持ち、ちゃんと伝わったみたい」
「シフォンちゃん、とっても嬉しそうね」
「メイさんもシフォンも、幸せゲットだよ!」
「プリップ~~~~!」

シフォンの額が緑色に光り、リングルンから先ほどのピックルンが飛び出す。

『キュイ!』
「な、なんや!?」
「緑色のピックルン……?」

メイの頭の上に乗り、楽しそうに転がるピックルン。

「そういえば、さっきはこの子に助けられたんだけど……何者なのかな?」
「う~ん。これは、仮説ですが」
「わかるの、キサナ?」
「シフォンの力とリングルンが反応して、新しいピックルンを生み出したのでは」
『キュイ、キュイ!』
「わぁ、生まれたばかりの赤ちゃんなんだね」
『キュイ~~~~!』

ピックルンの頭が光り、空中にスクリーンが現れる。
そこに映し出されたのは、バルキリーと戦うグレイブの姿。

「あ、キュアグレイブ!」
「これって、さっきの戦い……?」
「どうやらこのピックルンは、記憶を映像として再生することができるみたいですね」
「……みどるん!」

シフォンの呼びかけに、クルクルと空中を回転してみせるピックルン。

「そっか、あなたはミドルンって言うんだね。……よろしく」
『キュイ! キュイ!』

メイの頬に擦り寄るミドルン。

「そういえば、メイ」
「ん?」
「キイマジンの宿主となった像はどこです? 早く確保して、警察に連絡しなくては」
「あ……」

周囲に広がる無数のスクラップの山を見渡すメイ。

「この中の、どこかに……」

沈黙する一同。


***


遠い空の下、石造りの小さなホテルの一室。
木製の丸いテーブルの上に並べられた、飾り気の無い白い封筒と数枚の写真。

「へぇ……意外と楽しそうにやってるじゃない」

椅子に腰掛け、長い足を組んでいる女性。
黒髪をシンプルなヘアゴムで一纏めにし、丈の短いTシャツにジーパンというラフな格好。

「新しい、友達か……」

手にとった写真に向けて、分厚い眼鏡の奥から温かい眼差しが注がれる。

「いい笑顔だよ、メイ」


***


数日後、またいつもの公園。

「キュア~~~~! キュア~~~~!」

泣きじゃくるシフォンを、必死であやすメイ。

「あああ……ちょっと、いい子だから泣かないで!」
「メイさん、笑顔だよ!」
「そ、そっか……あはっ!」

メイの笑顔を見て、泣き止むシフォン。

「キュア、キュア♪」
「そうそう、メイさんもだいぶ慣れてきたよね」
「それじゃあたしたち、またレッスンに行ってくるから」
「シフォンちゃんのお世話、もうちょっとだけお願いね!」

メイに手を振り、ミユキのもとへ戻っていく三人。

「あ、ちょっと待っ……」
「キュアァ」

メイの表情が曇った途端、涙ぐむシフォン。

「だ、大丈夫だよシフォンちゃん! ほら、あはははは」
「キュア♪ キュア♪」

メイの笑顔を見て喜ぶシフォン。

「あははは、これじゃ、根本的な解決に、あはは、なってない気が……あはははは」

二人の傍らに置かれたパスケース。
メイの写真に並んで、満面の笑顔を浮かべたシフォンの写真が収められている。





つづく



******


○補足説明・おもいでミドルン

シフォンとリングルンがリンクしたことによって生まれた、『絆の鍵』。
他のピックルンよりやや小さく、おしゃぶりをくわえているのが特徴。
まだ赤ん坊のため、他のピックルンのようにプリキュアの素になることはできないが、記憶を映像として投影するという特殊能力を持つ。また、リングルンのマニューバーモードを使うことで、キュアグレイブを『キュアグレイブ・マスカー』へとパワーアップさせることができる。
ダークルンGのモデルになった『おねがいパープルン』については、またいつか。


******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
第9話『ラブ大ピンチ!? 夜の学校は危険がいっぱい!!』をお送りします。お楽しみに!





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No title

緑のピックルンと聞いて、キュアメロンを思い出した…
(ちなみにキュアメロンとはコレ→http://blog-imgs-27.fc2.com/t/o/k/tokkablog/play.html?id=nm9626874
左右の目が違う色になるだけでなく、身体まで左右反対に!あれ、これカメンライdry
ミドルンが完全体になるとちゃんとビートアップできるんでしょうかね(wktk
やっぱりプリプー様って歴代最強ですよね!ええ!
今は15話の時間軸だから、近々パッションとの絡みがきそうですね
と、その前にナキサケーベがどうなるかも気になってます
22話~24話当たりの時間軸に非常にwktkしております
さて、次回は16話の時間軸かな?大輔はスルーですね。分かります
しかし、相変わらずのFUKO少女だなぁメイさんw

No title

いや、メロンさんのことは知ってたんですよw
ただ、シフォンを象徴する色=緑かなと。クローバーマークの中心にありますし。
ついでにグレイブのメインカラーが黒なので、二色合わせるとまさにサイクロン!ジョーカ(ry

そういうお遊びを抜きにしても、半身だけのあからさまに不完全なパワーアップというのは、
「半端者」らしい悲哀が漂っていて自分では気に入っています。
プロフィール

ヤネ

Author:ヤネ
フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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