クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第1話
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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第1話

第1話です。『フレッシュプリキュア!』の、第5話くらいの時間軸です。


******





深夜の線路を歩く少女。
闇に溶けるような、黒いセーラー服を着ている。

「……お」

かすかな共鳴音がレールから伝わってくる。
暗闇の向こうから、猛然と迫る何物か。

「来たね……」

姿を現す黒い列車。
一切の明かりの無い、闇そのもののようなボディのあちこちに、赤黒く光る“目”が張り付いている。
蛇が鎌首をもたげるように、先頭車両がゆっくりと線路から浮かび上がった。
車体側面の窓を破って、巨木の幹のような“腕”が伸びる。

「…………」

少女の顔に緊張が走る。
その眼前で先頭車両が真っ二つに裂け、紅い“口”が現れた。
二枚の翼を生やしたそれは、先程までの列車から、巨大な“竜”の姿へと変化していた。
さらに速度を増し、少女へと迫る漆黒の竜。
……だが、彼女は逃げない。

「夜と昼との狭間より来たりて、光と闇とを抱(いだ)きし柩」

前髪の合間からのぞく右目が、鋭く光る。

「お見せしましょう」

少女は左手に巻きついた奇妙な“腕輪”に、菱十字の装飾が施された“鍵”を差し入れる。

「チェインジ……プリキュア」

少女が左手を掲げると、黒と白、光と闇の奔流が少女を包み、遥か次元の地平へとその“姿”を連れ去る。
そして、光と闇の交わるところ、次元流の特異点となるその“柩”の中から、もう一つの存在が彼女の肉体を通して発現する。

「クロス……オーバー!」


310748126s2.jpg



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第1話『見た! 謎のプリキュア!!』



「おっはよ――っ!」

人気の無い早朝の教室に、桃園ラブの声が響き渡る。

「って、こんな早くから誰もいるわけないよね……」

額に手を当て、ため息をつくラブ。

「日直だからって、つい早く来過ぎちゃったよぉ」

独り言を呟きながら、自分の席へ向かうラブ。
そこで彼女はあることに気付く。
……いる!
この教室にもう一人、いる!

「…………」

机に突っ伏したまま、微動だにしない少女が。
学校指定の物ではない黒いセーラー服が、短い襟足の隙間に見える白いうなじを強調している。
一瞬硬直した後、恐る恐る彼女に近づくラブ。

「……もしもーし」

かすかに聞こえる寝息。
ほっと胸をなで下ろすラブ。

「メイさん」
「…………」
「メイさん」
「ぬぅ……ん」

長く垂れた前髪の合間から、半開きの右目が覗く。
艶のある黒髪を掻きむしりながら、大きく欠伸をする少女。
机の上に突っ伏していたせいで、おでこが赤くなっている。

「おはよ、メイさん」
「うん……っ。桃園さんか、遅かったな」

黒須メイ。
半年前に四つ葉町に引っ越してきた、ラブのクラスメイトである。
切れ長の瞳に、前髪が左半面を覆うヘアスタイル。長身と相まって近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
……が、その実、やや人付き合いが苦手でマイペース過ぎるだけの、ごくフツーの娘である。

「メイさんが早すぎるんだよ。いつからいたの?」
「夜明けちょっと前……」
「え?」
「いや、間違えた。さっき来たばかり」

メイ、んっ――と伸びをする。

「あたし、日誌とってくる。メイさんは黒板消しかけといてね」
「ん……おぉう」

ほとんど目も開いていない状態で、ふらふらと黒板へ向かうメイ。

「メイさんそれ、黒板消しじゃない、コロッケパン!」
「ん……おぉう」


***


授業中。
ラブの足元に、後ろの席からシャーペンが転がってくる。
拾って振り返ると、所々意識を飛ばしながら、必死に眠気をこらえているメイ。

「(メイさん)」
「んはっ……!」
「(はい、これ)」
「(あ、ごめん……)」

メイが受け取るのを見届けて、前に向き直るラブ。
数分後、またラブの足元にシャーペンが転がってくる。
振り返ると、机に突っ伏しているメイ。

「……(すやすや)」
「…………」


***


時間は過ぎて昼食時。
独りでコロッケパンを頬張っているメイの机に、自分の机を寄せるラブ。

「メイさん、いっしょに食べよ!」
「ん……おう」
「……メイさん最近いつも眠そうだけど、どうしたの?」
「え?」
「?」

身を乗り出し、まっすぐメイの瞳をのぞき込むラブ。
頬を染めて目を逸らすメイ。

「夜更かし?」
「あ~~……うん。お、面白いアニメがあってね、ついついね」
「いけないよ。夜更かしは」
「はい……」
「ねえねえ! メイさんは見たことある? 幽霊電車」

机を寄せて仲間に加わる由美。

「……なんすかそれ?」
「あれ、メイさん知らなかった? 深夜3時に黒い電車が走るって、う・わ・さ」
「そんなうわさ、あったんだ」
「ラブも知らなかったの? けっこう有名だよ」

サラダをつつくメイの箸が止まる。

「……ああ。あれか」
「ほら。聞いたことあるでしょ?」
「あれならもう、出ないよ」
「え?」
「……なんとなくだけど」
「なんか、メイさんが言うと説得力あるぅ! じゃあメイさん、これは知ってる?」

身を乗り出し、ただならぬ様子で語り出す由美。

「うちの学校のハナシなんだけど」
「「ふむふむ」」

聞き入るメイとラブ。

「この校舎の南側、2階の踊り場に大きな鏡があるでしょ?」

さらに身を乗り出し、声を潜める由美。

「あの鏡、呪われてるのよ」
「呪い!?」
「声が大きい!」

あわてて口を押さえるラブ。

「そりゃあ穏やかじゃないな」

メイの言葉に頷き、唇に人差し指を当てて話を続ける由美。

「悪魔が住んでいるとも聞くわ」
「悪魔って……」

ブルブルと震え出すラブ。
構わずメイに向けて話を続ける由美。

「夕暮れ時にあの鏡をのぞくと、もう一人の自分が映るらしいのよ」
「まあ、鏡だからねえ」
「違うのよ! 自分だけど、自分じゃないの!」
「……ドッペルゲンガーのことかな?」
「そうそれよ! 怖いわよ。見たら死んじゃうんだから」
「え――っ死んじゃうのぉ!?」

たまらず悲鳴をあげるラブ。

「だから声が大きいって!」
「ゴメンナサイ……」
「ふむ……」


***


放課後の教室にラブとメイの姿。

「日誌出してきたよ。掃き掃除終わった?」
「おう」
「よし。帰ろ!」

傾きかけた陽光が差し込む中、階段を降りていくラブとメイ。
その様子が踊り場の鏡に映し出されている。

「この鏡がねェ……」

鏡の中の自分に、鋭い眼差しを向けるメイ。

「待ってメイさん! のぞいちゃだめ!!」
「…………」
「こうして……目をつぶっていればッ……!」

階段から足を踏み外し、転がり落ちるラブ。

「あ……」
「だは――――っ!!」


***


夕暮れの帰り路。
メイと並んで歩きながら、腰や頭をさすっているラブ。

「痛たたた……」
「……大丈夫?」
「やっぱり、あの方法は危険すぎたかぁ……」
「逆に死にかけてどうするのさ」
「しょぼん……」

分かれ道に差し掛かる二人。

「ねえメイさん。夕ご飯、作りに行ってもいい?」
「あっ……その……今日は叔母さんが、作ってくれるっていうから……」
「そっか。……今日は夜更かししないでね。また明日!」
「ま……また明日」

手を振りながら遠ざかるラブ。
小さく振り返すメイ。


***


玄関のドアを開けるメイ。
薄暗い廊下の角から、背の低い少女がひょっこり顔を出す。

「おかえりなさい」
「……ただいま」


***


同時刻。桃園家、ラブの部屋。
シフォンをあやしているタルト。
机に向かい、鞄から教科書を取り出しているラブ。

「あ……まいったなー、国語の教科書置いてきちゃったよぉ」
「相変わらずおっちょこちょいなお人やで」
「ほっといてよ。 ……これじゃ宿題できないし、取りに戻るしかないかぁ~」


***


机の上に教科書を広げ、宿題をしているメイ。
後ろのベッドに腰掛け、本を読んでいる少女。

「……!」

ページをめくる手が止まる。

「メイ!」
「……出番?」

うなずく少女。

「今日は早いね。……助かるけど」

机上のスタンドの明かりを消し、立ち上がるメイ。

「場所は?」
「メイの学校です」
「……!」


***


四つ葉中学校。
夕陽は既に地平線の向こうへ姿を消し、空は次第に薄暗くなりつつある。

「やだな、暗くなってきちゃったよ……」

二階の階段を前にして、うわさの事を思い出すラブ。

「……鏡のほうを見ないようにすれば、大丈夫だよね……」

早足で鏡の前を通り過ぎようとした時、ラブの鞄からアロマケースが落ちる。
反射的に振り返るラブ。
鏡に映った自分と目が合う。

「!」

鏡の中のラブ、口元を歪めて笑う。

「でッ……」

回れ右して階段を駆け上がるラブ。

「でた―――――ッ!!」

廊下へ逃げようとするラブだが、その目の前にもう一人の自分が立ちはだかる。

「どは――――っ!」

さらに切り返し、屋上への階段をのぼるラブ。
屋上に出ると勢いよく扉を閉め、一息つく。

「今のが、ドッペルなんとか……?」

扉にもたれかかり、へたりこむラブ。
その視界に、何物かの足が映る。

「…………」

恐る恐る顔を上げると、薄笑いを浮かべてこちらを見下ろす自分の顔が。

「あわわわわ……」

涙目のラブに迫るドッペルゲンガー。

「そこまでだ!」

二人のラブの真上。貯水タンクの上に、一番星を背負って立つ何者か。

「あれは……!?」

黄昏の空を舞い、ラブとドッペルゲンガーとの間に着地する影。
夕陽を背に、華麗なポーズを決める。

「冥府を望む玉座。……キュアグレイブ!!」

夕闇を思わせる、紫と黒の衣装を纏った戦士。
昇り始めた月の色にも似た、銀の髪が風になびく。
夕陽の残滓を思わせる真紅のエネルギーマフラーが炎のようにゆらめき、胸についた菱十字型のシンボルが一番星のように輝く。

「キュア……グレイブ……!?」
「イニシャルM。鏡に潜むとは、考えたね」
『ギィィ……』

ドッペルゲンガーの姿が歪み、輪郭を残して万華鏡状の模様が全身に広がる。
次いて輪郭も鋭角的に変化し、全身が鏡で出来た怪人の姿となる。

「カガミ人間!?」
「動かないでね! 叩き割ってあげるからっ!」

カガミ人間へ突進するグレイブ。

『ギィィィィ』

カガミ人間の姿が再び歪み、キュアグレイブに変化する。

「うぉ!?」
『ギィッ!』

二人のグレイブの拳がぶつかり合い、衝撃波が広がる。

「うわはっ!」

吹き飛ばされるラブ。
距離を置いてにらみ合うグレイブと偽グレイブ。

『ギィィ』
「能力は互角か……」

言葉とは裏腹に、グレイブの顔には余裕の笑みが浮かんでいる。

「なら、私の勝ちってことだ」
『ギィィ?』

グレイブの左手に巻かれた腕輪が眩い閃光を放つ。

「大気反転!」
「今度は、何!?」

思わず顔を覆うラブ。
閃光が収まった時、そこにグレイブや偽グレイブの姿は無かった。

「…………」

真っ暗な屋上に、独り残されたラブ。

「一体、何だったのぉ……??」


***


翌日の学校。
また三人で給食を食べているラブ・由美・メイ。

「どうしたのラブ? 今日、なんか元気無くない?」
「えっ……そ、そんなことないよぉ!」

アハハ、と笑ってごまかすラブ。

「それで、ドッペルゲンガーのうわさの続きなんだけど……」
「!」

ビクッと反応するラブ。
「……大丈夫だよ」
「……?」
「死ぬとか、デタラメだから」
「!?」
「……なんとなくだけど」
「なんか、メイさんが言うと説得力あ――」
「ど――して知ってるのぉ――!?」
「……ラブ?」
「なんとなくです」
「どうして? どうしてぇぇ!?」

メイの両肩を掴み、ぶんぶん揺さぶるラブ。
困惑する由美。目を合わせないメイ。
メイの左手、腕時計についた菱十字の鍵が揺れている。





つづく




******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
第2話『冥府を望む玉座! キュアグレイブ誕生!!』です。お楽しみに!



冒頭のイラストおよびタイトルロゴはももたまちゃんさんが描いてくださったものです。
本当にありがとうございました!!



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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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