クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第10話

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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第10話

今回は、『フレッシュプリキュア!』第17話より、少し後の時間軸です。


******


「……ユメコさん?」
「そう。夕暮れ時になると、どこからともなく女の子の歌声が聞こえてくるんだ」
「それで?」
「その歌声が聞こえて来たとき、自分の名前を呼ばれて返事をすると……その人は、夢の国に閉じ込められてしまうらしいんだ」

並んで町を歩く美希と和希。
和希の話す怪奇な噂を、半信半疑で聞いている美希。

「姉さんも、気をつけてよ」
「夢の国って……まさかぁ」
「公表されてはいないけど、実際に眠り続けてる人もいるって噂だよ」

公園の近くを通りがかる二人。
美希の視界の隅、ドーナツカフェに見覚えのある人物の姿。

「あれ……キサナじゃない」

和希を連れて近づいていく美希。

「キサナ!」

美希に気づき、ワゴンの中から顔を出すカオルちゃん。

「おや。お嬢ちゃん、このお客さんとお知り合い?」
「うん。……あれ?」

一人でテーブルに座っている黒髪の女性。
よく見ると、キサナよりずっと背が高く、顔立ちも大人びている。

「キサナじゃ……ない?」

こちらを向いた女性に、頭を下げる美希。

「ご、ごめんなさい。人違いでした。……知り合いに、よく似てたものですから……」
「キミ……蒼乃美希さん、だろ?」
「え!?」

唐突に名前を呼ばれ、あわてて顔を上げる美希。

「……やっぱり。写真で見るより美人だ。あいつの腕も、まだまだだな」
「あの……あたし、読者モデルをやっているんですけど……もしかして、雑誌を読まれた方ですか?」
「いや。うちの母親の所に届いた写真を拝見したものでね」
「……??」

自分の胸に手を添え、女性の目が正面から美希を見つめる。

「私は紫藤(しどう)ナラカ。今じゃ違う姓を名乗ってはいるが、黒須メイの姉だよ」
「……えぇ!!?」



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第10話『眠れるメイと夢の国の美希!』



午後を過ぎ、少し傾いた日差しが降り注ぐクローバータウンストリート。
入院中の犬を散歩させている祈里とラブ、そこに偶然出くわしたメイ。

「メイさん!」
「こんにちは。……今日は、蒼乃さんは一緒じゃないんだね」
「うん。美希たんは、弟の和希君とデートだよ」
「あぁ、うわさのイケメン君か……」
「本当にラブラブよね、美希ちゃんとカズちゃん」

思わず苦笑する三人。

「そういえば、メイさんにも別々に暮らしているお姉さんがいるんだよね」
「そ、それは……」
「えっ、わたし知らなかった。……きっと、メイさんみたいに綺麗な人よね」
「え~~っと……」

メイの表情が曇り、口ごもる。

「あっ……話したくないことだったら、いいんだよ」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

と、メイの左腕のリングルンが光り、キサナの声が響く。

『ダークルンが動き始めました』
「もうそんな時間か。……もしかして、噂のやつ?」
『そのようです』
「キサナちゃんからの通信……」
「また、ダークルンが出たの?」
「みたいだ。ちょっと、行ってくるね」

ラブたちと別れ、ダークルンのもとへ急ぐメイ。
……だがその頃、メイの家では。

「メイ、……メイ!」

部屋で独り、リングルンへ念を送るキサナ。

「せっかく、おやつを買ってきてあげたのに……どこで油を売っているんですか」

机の上に置かれた紙袋。
中にはテイクアウトしたカオルちゃんのドーナツが、二人分。

(しかし、妙ですね。先ほどからずっと、通信が繋がらない……)

その時、鼓動の高鳴りとともにキサナの両目が紫色に光る。

「キイマジン反応……まさか!?」


***


「これは私のおごりだ。遠慮しないで食べてくれ」
「すみません……」
「いいんだよ。いつもメイがお世話になっている分だ」

ドーナツカフェのテーブルを囲むナラカ、美希、和希。

「うちは両親ともに写真家でね。私は離婚の前から父親の手伝いをしていたから、そっちに引き取られたんだ」
「そうだったんですか」
「実は、僕と姉も同じなんです。僕が、父親の方に引き取られて」
「……なるほど。不思議な偶然もあるものだな」

ため息をついて椅子にもたれかかるナラカ。

「私たちも、昔は仲の良い姉妹だったんだがな。今じゃこうしてたまに会いに来ても、顔すら合わせてくれない」

コーヒーを啜り、再び大きくため息をつく。

「きっとまた、仲良くなれますよ。だってメイとナラカさん、そっくりですから」
「ふふ……良くも悪くも、似た者同士なのは確かだが」

席を立ち、カウンターに代金を置くナラカ。

「ごちそうさま。あなたのドーナツは、最高だ」
「また来てよ。おじさん、美人さんはいつでも大歓迎だから! ……まぁ、誰でも大歓迎しちゃうんだけどね。グハッ!」

カオルちゃんに軽く会釈し、美希たちの方を向き直る。

「あいつは私と同じで、ひねくれ者だが……よかったら、これからも友達でいてやってほしい」
「もちろんです。メイのことは、あたしたちに任せてください」
「頼もしいな。……ありがとう」

小さく手を振り、去っていくナラカ。

「ナラカさん……」


***


黄昏の町に木霊する、奇妙な歌声。
その声の主を追って、闇から闇へと駆け抜けるグレイブ。

(イニシャルS……今日こそ、逃がさない)

四方を建物に囲まれた袋小路。
グレイブが足を止めると同時に、歌声もかき消える。

『メイ、キイマジン反応です』
「うん、わかってる」

リングルンからの通信に短く返答し、周囲の様子をうかがうグレイブ。

『……フフフ』
「キサナ?」
『アハハハハハハハハ』

耳障りな、聞き覚えの無い笑い声に戸惑うグレイブ。

「お前――まさか!?」
『アハハハ、しちゃったね? 返事、しちゃったね?』

不気味に反響し続ける声が、グレイブの意識を黒く塗り潰す。
暗転する視界。
闇の中に映し出される、夢魔の幻像。

『……ねぇ。メイの夢って、どんな夢……?』

その両手がグレイブの頬に触れる。

「……しまっ……た……」

変身が解け、夕闇の中に倒れ伏すメイ。
精神世界、夢幻の淵へと沈み込む。


***


和希と別れ、帰り道についていた美希のリンクルンが鳴る。

「キサナ……?」
『ベリーさん、緊急事態です! メイの家まで来てください!』
「えっ!?」

数分後。
メイの部屋に集まったラブ、祈里、キサナ、そして美希。
ベッドで静かに寝息を立てているメイ。

「メイさんに、何が……?」
「メイは今、精神寄生型のダークルンによって夢の国に閉じ込められています」
「まさか、噂の……!?」
「イニシャルS、セイキュバスの仕業です。私たちも油断していました」
「キサナちゃん。どうすれば、メイさんを助けられるの!?」
「この子の力を借ります」

眠るメイの左腕。
リングルンが緑色に光り、現れるミドルン。

「えっと……たしか、ミドルン! だったよね?」
「はい。夢とは、記憶から生み出されるもの……。記憶をつかさどるミドルンの力を借りれば、メイの夢にアクセスできるはずです」
「夢に、アクセス……?」
「精神のみを切り離し、夢の国に飛ばすのです。そこでセイキュバスを発見し、倒すことができれば、メイは目を覚まします。……ただし」
「ただし?」
「ミドルンと一体化できるのは一人だけ。それに、セイキュバスがどんな攻撃を仕掛けてくるかわかりません。もし、やられたら……その一人も目を覚ますことはできなくなり、打つ手は完全に無くなります」
「……あたしが行くわ」
「美希たん!?」
「美希ちゃん!」
「お願い。あたしにやらせて」

キサナの瞳を、まっすぐに見つめる美希。

「……わかりました」
『キュイ!』

舞い上がり、鍵の姿になって美希の体に一体化するミドルン。
意識を失った美希の体を、ラブと祈里が抱きとめる。

「美希ちゃん……」
「美希たん、頼んだよ」


***


気がついた時、美希は夕暮れの丘にいた。
見渡す限りの草原を、風が吹き抜ける。

「ここが、夢の国……?」
『メイの夢が生まれる場所、精神世界といった方が正しいかもしれません』
「綺麗……だけど、ちょっと寂しい所ね」

太陽の沈むあたりに、黒く細長い建物が見える。

「あれは……?」
『夢の中枢です。あそこに向かってください』

近づくにつれて、それがかなり大きな石造りの塔であることがわかった。
扉に手をかざすと、左右に開いていく。

「入っちゃって、いいのよね?」
『この階段を下りた所に、夢を生み出す記憶の泉があります』

ゆっくりと、螺旋階段を下りていく美希。
途中、様々な映像が空中に浮かび上がっては通り過ぎていく。

「なに、これ……?」
『メイの記憶の一部ですね』
「それって、勝手に見ちゃまずくない?」
『ここは精神の世界ですから、目を瞑っても情報は流れ込んでしまいます。気にせず先に進んでください』

そうは言われても、メイの頭の中を直接覗いているかと思うと……不思議な興奮と罪悪感が美希の胸に押し寄せる。

(あまり変な映像が、目に入りませんように……)

どのくらい下まで来ただろうか。
周囲に浮かんでは消える映像の中に、特定の人物の姿が増える。
それは、美希もよく知っている顔。

(キサナ……? でも、ちょっと雰囲気違うような……)

やがて、美希は塔の最深部に到達した。
そこには、波一つない小さな、澄んだ泉が湧いていた。

「あれは!?」

泉のほとりに生えた樹に、もたれかかるようにして眠っているメイ。
その頭には、奇妙な形のヘッドホンがつけられている。

「メイ!」
『セイキュバスに封じられた、メイの意識分体です。あれを目覚めさせることができれば……』
「わかったわ!」

駆け寄ろうとしたその時、メイの背後から一人の少女が現れる。
身につけているのはピンク色のパジャマ。
頭を覆ったナイトキャップからは、コウモリのような翼と、先端が矢じりのように尖った黒い尾が伸びている。

「あなたがセイキュバスね!?」
「あたり。大当たり」

セイキュバスの両目は前髪の下に隠れて見えず、代わりに、手にした枕に開いた巨大な一つ目が美希を睨む。

「ベリー。あなた、キュアベリーでしょ?」
「そうよ」
「安心しなよ。イーナの力が宿ってる限り、メイは不死身なんだよ」
「イーナ?」
「イーナ。ダークルン四姉妹の、いちばん下。セイキュバスのイーナ」
「メイの夢から出て行きなさい!」
「アハハハ。やだね。アハハハ」

セイキュバスの笑い声とともに、泉の水が生き物のようにうねり、美希に襲いかかる。

「きゃあっ!?」
『ベリーさん、これを!』
「え?」

美希の右手に、青い光が集まったかと思うと……ベリーソードが現れた。

「ベリーソード!?」
『メイの記憶の一部から再現したものです』
「それは、ありがたいわね……このっ!」

ベリーソードを振るい、襲い来る水を切り裂く美希。
その切っ先をセイキュバスに向ける。

「痛い目に遭いたくなかったら、今すぐメイを返すことね!」
「……やだ。イーナ、メイのこと気に入ったんだもん。返すの、やだ」

セイキュバスの歌声が、記憶の泉に響き渡る。
一瞬にして黒く染まったその水面に、美希の姿が映る。

「これは!?」

泉の底から現れる、キュアベリー。

「ウソっ!?」
『はあぁぁぁぁぁっ!』

拳を振り上げ、美希に飛びかかるベリー。

「ちょっと……冗談でしょ!?」
『あれも、記憶から造り出された幻影です。とにかく、メイの所へ!』

ベリーソードで攻撃を受け流し、地面を転がってメイに近づく美希。

「メイ―――――っ!!」

両肩を掴んで揺さぶるも、メイはまったく反応しない。

「メイ! メイっ!」

両耳を塞いでいるヘッドホンに手をかける美希。

「くっ!」

瞬間、電流のような痛みと衝撃が全身に走る。

「約束したのよ……ナラカさんと」

溢れ出す闇の波動に意識を脅かされながら、呼びかける美希。

「絶対に助ける。……あたしは、あたしたちは、あなたの友達だから……!」
「友達なんて、いらないよ? だって、イーナがここにいるんだよ?」

メイの両手が操り人形のようにゆっくりと持ち上がり、美希の首元へと伸びる。

「ねぇ、メイ。メイも、そう思うよね?」
「……メイ……っ!」

セイキュバスの言葉に従い、メイの指が細く白い首を締め上げる。
苦しみ喘ぐ美希の背後から、幻影ベリーが迫る。

『ベリーさん!!』

幻影ベリーの目の前。
美希の背中で緑色の光がスパークしたかと思うと、姿を現すミドルン。

『ミドルン!』
『キュイ!』

幻影ベリーの周囲を高速で飛び回り、歩みを妨げる。
揺れる意識の中、声を絞り出すようにしてもう一度、メイに呼びかける美希。

「帰って、きて。あたしたちにもう一度、笑顔を見せて。 ……メイ!!」

渾身の力でヘッドホンを引き剥がし、地面に叩きつける。

「……!」

美希の首にかけられていたメイの両手が緩み、長い睫毛がかすかに震える。
ゆっくりと開いていく両目に、かけがえのない友達の顔が映る。

「蒼乃……さん」

瞬間、煙のように消滅する幻影ベリー。
黒く染められた泉が、一瞬にして澄み渡る。

「メイ……」

倒れようとする美希の体を抱き止め、立ち上がるメイ。

「ごめん。……ありがとう」

狼狽するセイキュバスを貫く、怒りの眼光。

「嘘っ……嘘、だぁ」
「さて、と。今度は君が眠る番だね。……黄昏の墓標の下で」
「やだあぁ!!」

抱いた枕の一つ目から、電撃を放射するセイキュバス。
記憶によってメイの左手に“再現”されたグレイブトンファーが、一振りでそれを打ち消す。

「帰る……イーナ、帰るっ!!」
「逃がさないわよ! ……響け、希望のリズム!」

ベリーソードを抜刀する美希。
見えない刀身に力が宿り、セイキュバスが苦し紛れに投げた枕を両断する。

「悪いの悪いの飛んでいけ!」

ソードの演武によって“力場”を形成する美希の隣で、静かにトンファーを振りかぶるメイ。

「プリキュア・エスポワールシャワー……」

翼を広げて急上昇していくセイキュバスに、狙いを定める二人。

「フレ――――――ッシュッ!!」

一気に解放された希望のエネルギー、蒼い閃光がセイキュバスを捉える。

「うぁ……シュワ……シュワぁぁ!?」

空中で動きを止められたセイキュバスに、投擲されたトンファーが命中する。
地の底を指す、メイの親指。

「……ロックブレイク」
『キィィィィィィィ!!』

砕け散るセイキュバス。
希望の雨と変わり、記憶の泉へと降り注ぐ。
そして――。


***


メイの部屋。
キサナたちが見守る中、同時に目を覚ますメイと美希。

「蒼乃さん!」
「メイ!」

飛び起きると互いの無事を確認し、ほっと胸をなで下ろす二人。

「イニシャルS、回収完了です」
「やったね美希たん、メイさん!」
「必ず二人で帰ってくるって、わたし信じてた!」

手のひらに舞い降りたミドルンの頭を撫でるメイ。

「ミドルンも、ありがとう」
「同じように夢に閉じ込められていた人々も、目を覚ましているはずです」
「メイさんにはハラハラさせられっぱなしだよ、もう」
「確かに、そうかも」
「やっぱり、あたしたちがついてなきゃ……ね!」
「……うん」

メイを抱き寄せ、ウインクする美希。
恥ずかしそうにうつむきながら、うなずくメイ。

「ごめん、蒼乃さん。私のせいで危険な目に遭わせてしまって」
「ほんとよ。起こすの、大変だったんだから」

首元をさする美希に、あらためて頭を下げるメイ。

「それなんだけど……。実は私、蒼乃さんがどうやって眠りを覚まさせてくれたのか、全然憶えてないんだよね……」
「ふーん。知りたい?」
「うん」
「……じゃ、教えてあげる」

一瞬キサナに目配せした後、メイの耳元にそっと答えを囁く美希。

(……王子様の、キスよ)

しばしの沈黙の後、メイの顔がみるみる赤く染まる。

「えっ……え、えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

その様子を見て、堪え切れずに大笑いする美希。
わけがわからず、首をかしげるラブと祈里。
美希につられて笑いながら、部屋の隅……机の上に置かれた写真立てに視線を移すキサナ。
額縁の中、幼いメイと頬を寄せ合って笑う、キサナと同じ姿をした少女。

(ナラカさん。私はもう少しだけ、メイを頼らなくてはなりません。……でも……)


***


電車に揺られながら、流れる夜景を見つめているナラカ。
その脳裏に、今日の午後の記憶が蘇る。
美希たちと出会う、ほんの少し前のこと。
……過去の自分とまったく同じ姿をした、不思議な存在との邂逅。

『すみません、勝手にあなたの姿を借りてしまって』

ドーナツカフェのテーブルに、向かい合って座ったキサナとナラカ。
傍から見て、ただの姉妹にしてはあまりに似過ぎた、双子にしてはあまりに背格好が違い過ぎる、二人。

『構わないさ。……私の代わりに、あいつのそばにいてくれるなら』

ナラカの言葉を受け、自分の胸に手をかざすキサナ。

『でも、私にはメイを頼ることしかできない。メイの身を危険に晒すことでしか、この世界を守れない。……本当に、申し訳なく思っています』
『謝ることなんてない。あいつが自分で選んだ道なんだろう?』

身を乗り出し、うつむくキサナの両肩に手を添えるナラカ。

『キミと出会ったことで、あいつはかけがえのない仲間を得ることができた。お礼を言わなくてはならないくらいだよ』
『……ナラカさん……』

「もう、私がそばにいてやらなくても、大丈夫なんだよな……」

懐から出したパスケースを開くナラカ。
そこに収められている写真……それは、メイの机の上に飾られているのと同じもの。
頬を寄せ合って笑う、幼い日のメイとナラカ。

「はぁ……」

写真を見つめながら、大きくため息をつくナラカ。
凛々しい顔がふにゃりと崩れる。

「メイぃ……。お姉ちゃん、安心したけど、ちょっぴり寂しくなっちゃったよぅ……」

甘えた声で呟くと、写真に向かって愛おしそうに語りかける。

「ううん、会ってくれなくてもいいの。私はただ、メイの近くにいたいだけだからっ! ……来週、また来るからね」

肉眼で見えるほど濃厚な愛オーラを立ちのぼらせながら、写真に頬ずりし始めるナラカ。
……その周囲で硬直する、他の乗客たち。


***


数日後。
メイのお世話に情熱を燃やす人物が、ここ四つ葉町にも新たに誕生していた。

「次はこれを着てみて。さ、早く!」
「あの……蒼乃さん。私、さっきのやつでいいんだけど……」
「ダメよ。今日は、メイをカンペキにコーディネイトしてあげるんだから。妥協は厳禁よ!」
「……そうは言ったって、もう三軒目だよ……」
「前々から思ってたのよね。メイは素材がいいんだし、もっとオシャレに気を遣わなきゃ。ほら、試着試着!」

メイを個室に押し込み、カーテンを閉じる美希。

(ナラカさん、メイのことはあたしに任せてください。どこに出しても恥ずかしくない、カンペキな女の子にしてみせますから……!)

ナラカの姿を胸に描き、決意を新たにする美希。

「服が終わったら、次はアクセサリーよ!」
「うぇぇ……」

カーテン越しに弱々しく響く、メイのうめき声。

(……まぁでも、蒼乃さんも私のためを思ってくれてるんだし。今日、一日くらいは……)

「あ、そうそう。明日からは料理の特訓。毎朝のジョギングも始めるわよ」
「なっ……!?」

思わずカーテンの向こう側にいる美希を振り返り、絶句するメイ。

「真の美しさは、健康から生まれるものなの。……ジョギングの後には、あたし特製のモーニングスペシャルをごちそうするから、ね!」
「そ、それは、どうも……」

上着を脱ぎかけて、全身から力が抜けていくのを自覚するメイ。

(最近は姉さんが家に押しかけてくることもなくなって、解放されたと思ったのに……。これじゃ、まるで……)

「心配しないで。メイは、一人じゃない。あたしと一緒に頑張ろっ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ……」

三人の“姉”からたっぷりと愛情を注がれて、悲鳴が出るほど幸せな? メイであった。





つづく


******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
第11話『タルトとキサナの願いごと!』をお送りします。

ナキサケーべ襲来、その時キュアグレイブは? お楽しみに!




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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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No title

うわあああああああ!!
妹かと思ったら昔の姉だったとはあああっ!!
予想外れまくりwいや、まさかそんな姉だなんて予想できないよっ!
それにしても変身しないでベリーソードとかグレイブトンファーとか、なんか新鮮ですね。
闇ベリー(?)もよかったですね。
ナカラさん、妹萌えってやつですか!?
いや、そうだろう!多分(キリッ
さて、次回はついにナキサケーベ登場…ラブ達が入院した21話の時間軸は、来そうな気配だったのでナキサケーベが話にかかわってくることは予想ができたんですが、次回は予想ができないなっ
あ、後ちょっと聞いておこうと思ったので。
もし、メイやキサナに『声』がつくとしたら、どんな声優さんに担当してもらいたいですか?

意外!?

よもや、キサナのモデルが美希たんの実弟・和希くんと同じ境遇のメイの実姉とは・・・。
その実姉・ナラカさんの幼き頃の姿が、今のキサナのモデルなんですね。
意外というか・・・。

シリーズも次回が11回目、次はタルトとの絡みでいよいよナキサケーベ登場という事で、段々とパッション登場回も近づきつつあるなぁという印象です。中盤戦のストーリーも楽しみにしております。

メイ、最大のモテ回(?)

実は、ナラカを姉にするか妹にするかは、写真が出た時点ではまだ決まっていなかったんですよね。
キサナに似た人物と並んで写っていたのが、「幼い」メイだったという描写が、今回追加されて。
これは文章ならではの後出し展開ですね。ずるいや……。
美希がメイを「妹分」として意識するように、こういうひねりを入れてみました。
メイとキサナの関係も、タイムスリップ物のような、転生物のような、不思議な感じになったと思います。
メイにとって「記憶の中の姉」と過ごす毎日は、それ自体が夢のようにも感じられて。
キサナの前では、昔のまま。いっさいポーズを作っていないんですよ。
それから……前回の暴走メイと今回ラストのナラカを比べると、そっくり姉妹なのがよくわかります。
おもに、悪いところが。

>メイとキサナの声優
具体的な名前を挙げるとしたら、
メイ→坂本真綾さん、キサナ→福井裕佳梨さん
とか、かな?
ぶっきらぼうだけど繊細なメイ(低声系)、飄々としたお姫様のキサナ(高声系)……ってイメージです。
プロフィール

ヤネ

Author:ヤネ
フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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