クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第2話

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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第2話

第2話です。『フレッシュプリキュア!』第1話以前の時間軸になります。


******





黒須メイがここ四つ葉町に引っ越してきて、はや半年。
ろくに友達も出来ていない状況であるが、本人にそれを気にしている様子は無く、むしろ学校での謎の(美)少女扱いに心地よさを感じている程であった。
部活もせず、放課後は独り屋上で空の色の変化を眺めてみたり。
こんな青春を送っていたら、近い将来、必ず後悔することになるであろう。
……だが、天はメイを見捨てなかった。
そう。その日、天から一つの“贈り物”が降ったのだ。
まるで黄昏の空から流れ落ちた一番星のような、それは――。

「……腕輪?」

美しい装飾が施されたその物体は、一見するとただのブレスレットのようだが、よく見ると鍵穴付きの小箱のようなものが組み込まれている。
かなりの高さから落下してきたことは間違いないが、見たところ表面には傷ひとつない。

「鍵付き腕時計……? 小物入れ……?」

肝心の鍵はいつまで待っても降ってこなかったが、面白い物が手に入ったと、上機嫌で帰路につくメイ。
“墓標”の名を持つプリキュア、キュアグレイブにまつわる物語は、ここから始まる……。



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第2話『冥府を望む玉座! キュアグレイブ誕生!!』



学校から帰って間もなく、メイは大事なパスケースを失くしたことに気付く。
急いで学校に戻り、心当たりのある場所を探すメイだったが、パスケースは見つからない。
肩を落として家に着いたメイは、門の前で佇む人物を発見した。

「メイさん! 待ってたんだよ!」

桃園ラブ。
メイのクラスメイトである。
かつて彼女の猛烈プッシュに負けたメイはドーナツカフェに付き合い、以来、完全に友達認定されてしまっていたのだった。
学校では少し近寄りがたい雰囲気を醸し出しているメイに、気軽に話しかけてくる数少ない相手でもある。

「はい、これ。メイさんのだよね。帰り道で拾ったんだ」

ラブが持っていたのは、まさに探し物のパスケース。

「あ、ありがとう!」

ラブが相手となると感謝しつつも冷たくあしらってしまうことが多いメイだったが、これには素直に礼を言わざるを得なかった。

「誰の落し物か知りたくて、勝手に中を見ちゃった。……ごめんなさい」

メイが肌身離さず携帯しているパスケース、実はその中に入っているのはメイ自身の写真である。

「すぐにメイさんのってわかって、よかったな」
「……ま、待って。勘違いはしないでほしい。私はそこまでナルシストじゃあないの」

特に疑問を抱いている様子も無いラブに、一方的に説明を始めるメイ。

「うちの母親は写真家やってるの。身内の写真を撮ることは滅多に無いんだけど、これは例外。私もお気に入りだから、大切にしてるの。それだけです!」
「そっか。お母さんのこと、大好きなんだね」
「いやっ……」

ラブからの評価がナルシスト→マザコンにシフトしたと捉え、あわてるメイ。

「あたしも、お母さんのことはとっても尊敬してるけど」
「桃園さん、誤解ですよ。私はそこまで……」

実際、メイは母親のことをめちゃめちゃ尊敬しているわけだが、それを見透かされたことが恥ずかしくてたまらない。

「あたしは写真のことには詳しくないけど、これはいい写真だと思う。あたしもメイさんのお母さんに会ってみたいな」
「……それは難しいかもね。うちの母親、なかなか日本に帰って来ないし」
「えぇ!? メイさんのお母さんて、世界を駆け巡ってるの!?」
「そ、そうだよ。その道じゃ結構有名だったりするの。雑誌のインタビュー、受けたこともあるし。……まあ、奔放過ぎて父親とは離婚しちゃったけどね」

母親の話題になるとつい、饒舌になってしまうメイである。

「……それじゃあメイさんは今、誰と暮らしてるの?」
「ここは一応、私と母さんの家だけど……今は伯母さんに面倒見てもらってる感じ。伯母さんも忙しい人だから、あまり顔は出してこないけど」

実質独り暮らしに近い状態とも言えるメイだが、本人の気質と四つ葉町の環境とが相まって、今のところ問題は無い。
だが、それを聞いたラブは腕を組んで思案のポーズ。

「メイさん、夕ご飯は?」
「これから作って、食べるけど」
「おばさんと?」
「一人で」

よし! と腕を解くラブ。

「あたしが夕ご飯作るよ!」
「は?」
「あたしが夕ご飯作るから、いっしょに食べよう!」

今までこの家にクラスメイトを通したことは一度も無い。
首を振って後ずさるメイ。

「いやいや、いいってそんな。桃園さんも帰らなきゃ、親御さんが心配するでしょ」
「今日はあたしの料理当番じゃないから。メイさんとご飯食べるって連絡すれば、大丈夫だよ」
「そういう問題では……」
「一人で食べるより、二人で食べるほうが楽しいよ。それに、メイさんのお母さんが撮った写真、もっと見たいの」
「そ、そう?」

母親を褒められるとつい、ノってしまうメイ。
かくして、ラブの母親(あゆみさん)が働いているスーパーまで買出しに出かけることになった二人。
街灯が照らす夕暮れの道を、連れ立って歩く。

「夕ご飯、何にしようかな? メイさんは、何が食べたい?」
「いや、私は……何でも」
「じゃあ、ハンバーグでいいかな? あたし、ハンバーグ得意なんだ!」
「……ねえ、桃園さん」
「なあに?」
「桃園さんは、どうしてそこまでするの?」
「え……?」
「桃園さんは、他人のことなんてどうでもいいとか、そういうふうに考えたことないの?」
「う~ん……」

初めて会った日から、ずっと抱いていた疑問をぶつけるメイ。
腕を組み、さっきと同じポーズで唸るラブ。

「あんまり難しく考えたことないけど……あたし一人で幸せになるより、みんなで幸せになったほうが、もっと幸せってことかな」
「……桃園さんはすごいね。とてもじゃないけど、私は桃園さんみたいにはなれないな」
「そうだね」

あっさり返され、思わず前のめりに倒れそうになるメイ。

「えっ、ぜ、全肯定!?」
「あたしだって、メイさんみたいにはなれないもん」
「……??」
「みんなそれぞれ、得意なことも好きな物も違う。みんな、色々な幸せを持ってる。だから、あたしはメイさんのことをもっと知りたい。もっと仲良くなりたいんだ」
「…………」

ラブの言葉に、メイは母親との記憶を思い出していた。
世界を駆ける自慢の母親。だがメイは、自分がそんな母親の枷になることが我慢できなかった。


『わざわざ私のところに帰ってくる必要なんて無いのに。母さんには、母さんの道を歩んでほしいよ』
『……そうだね、私には私の、メイにはメイの道がある。でもね、だからこそ、一緒にいられる時間が嬉しいんだよ』


(……母さん……)

「あ――っそうだ!」
「えっ!?」

ラブの声で我に返るメイ。

「な、なに?」
「美希たんも呼ぼう!」
「みきたん?」
「蒼乃美希っていって、あたしの幼馴染みなの。鳥越学園に通ってて、すっごい美人なんだよ!」
「へ、へぇ……」
「ちょうど美希たんのお母さんも旅行に行ってるから、きっと誘ったら来るよ!」
「誘ったら……って、今から?」
「二人より三人のほうが楽しいもん。あたし、ちょっと美希たんの家まで行ってくるね。メイさん、悪いけど先にスーパー行ってて!」
「あ……はい……」
「みんなで幸せ、ゲットだよ!」

メイに向けてガッツポーズし、走り去るラブ。

「……敵わない……あの娘には……」


すっかり日は落ち、辺りは薄暗い。
人気の無い工事現場の前を通りかかった時、不思議な感覚にメイは足を止めた。
背負った鞄から響く脈動。

「……?」

鞄を開くと、先ほど拾った腕輪が紫色の妖しい光を放っている。

(やば……まさかこれ、呪いの腕輪ってやつか――!?)

焦るメイの後方から、激しい金属音が響く。
耳を押さえて振り返ると、無人のブルドーザーがまるで大型動物のように動き回っていた。

「えぇぇぇぇぇ!?」

メイの眼前でブルドーザーの形状が瞬く間に変化、犀か象を思わせる奇怪な獣の姿となる。

『キィィィィィ!!』

奇怪な叫び声を上げ、メイの方へ突進してくるブルドーザー。
間一髪、横に転がって怪物をかわすメイ。
そのままの勢いで、建設途中のビルに突っ込む怪物。
コンクリートの破片や鉄骨、作業用の足場などが辺りに降り注ぐ。
落下物から逃げ惑い、足をとられて転倒するメイ。
瓦礫の中で身震いし、ゆっくりとメイの方へ向き直る怪物。

「わ、わわわわわ……」

その時、メイの頭の中に何者かの声が響いた。
どこか聞き覚えのあるその声。……メイ自身の声である。

『メイ!』
「えっ!?」
『クロスオーバーを!』
「……だ、誰!? どこにいるの!?」
『私は、ここに』
「まさか!?」

その声の主は、メイが手にしている腕輪。

「腕輪がしゃべってる……?」
『時間がありません。力を貸してください!』
「ち、力を、貸す……!?」
『そうです。あの怪物を倒すために、あなたの力が必要なんです!」
「わ、私の力なんて……っ」

怪物はメイの眼前まで迫っている。
その巨体と赤い眼光に、メイの足はすくみ、声が震える。

『お願いです。この世界の人々の幸せを守るために、戦ってください!』
「で、できるの? 私に?」
『できます。この腕輪と一つになれば』
「…………」

メイの脳裏に、ラブの笑顔が、母親の言葉が蘇る。


『みんなそれぞれ、得意なことも好きな物も違う。みんな、色々な幸せを持ってる』
『あたしにはあたしの、メイにはメイの道がある』
『みんなで幸せ、ゲットだよ!』


「私が、戦う……? 守る……? みんなの、幸せを……?」

震える手で腕輪を握り締めるメイ。

「私は、桃園さんみたいに強くはない。……でも、私は私の道を、歩いていける」
『あの、何をぶつぶつ言っているんですか? もう時間がありませんよ!』
「そっか、それだ……! それだよ!」
『え?』
「みんなの幸せは、みんなの歩く道は、私が守る!! それで文句は無いっすね!!?」
『……あ……はい』
「ならば、とくとお見せしましょう!!」

腕輪を左手に装着するメイ。
その瞬間――巨大な脈動とともに、メイの脳内に伝説の戦士のデータがインストールされた。
虚空から現れた菱十字の鍵を差し入れ、腕輪を展開。
その中心部に組み込まれた次元球を始動させ、左手を天高く掲げる。

「チェインジ・プリキュア!」

メイの身体を包むように、世界の時間軸から隔離された別次元の空間が形成される。
両腕をクロスし、変身コードを唱えるとともに水平に解放する。

「クロス・オーバー!!」

腕輪から解放されたエネルギーが装衣(クロス)となってメイの全身を包み、収束する。


「冥府を望む玉座! キュアグレイブ!!」


新たなプリキュアの誕生である。
変身のために展開された隔離空間は消滅し、伝説の戦士がついに我々の世界へと降臨する。

『キィィィィィ!!』

キュアグレイブの出現に一瞬怖気づいたかに見えた怪物だったが、自らを奮い立たせるような雄叫びとともに、目の前の相手に猛然と突進する。

「…………」

恐ろしいスピードで迫り来る巨体を前にして、微動だにしないグレイブ。
鈍い金属音。

『キィィィィィ!?』

渾身の体当たりは、グレイブの片手で完全に止められていた。
ブルドーザーのショベルにあたる部分が、グレイブの掌の形に陥没している。
グレイブの両足は先ほどの位置から、一ミリも動いてはいない。

『キィィィィィ!』

怒号とも悲鳴ともつかない、甲高い叫び声をあげる怪物。

「……はっ」

短く小さな気合とともに、突進を止めたのと逆の腕で怪物に拳を打ち込むグレイブ。
空気が歪むような衝撃波が走り、巨体が夜空に舞う。
一瞬の静寂の後、怪物は轟音とともに大地に叩きつけられ、跳ね上がり、転がる。

『ギ……キィ』

横たわり、もはや吼える力も無いと見える怪物に、ゆっくりと歩み寄るグレイブ。

「ふん」

左手を腰にため、腕輪にエネルギーを集中させる。

「はあっ!」

グレイブの左腕が怪物に叩き込まれる。同時に、接触面から光の輪が幾重にも広がる。

「ロックブレイク!」

グレイブが内部から何かを抜き去ると、怪物の姿が砕け散り、その中から怪物へと変化する以前のブルドーザーの姿が現れた。

「…………」

グレイブが抜き去った“それ”……黒い鍵のような姿の妖精は、腕輪に吸い込まれて消えた。

『やりましたね。……イニシャルB、回収完了です』
「勝ったの……私が……?」

我に返り、立ち尽くすグレイブ=メイ。


***


スーパーの店内。
買い物かごを持ったメイのもとに、息を切らせてやってくるラブ。

「メイさんおまたせ! 美希たん、今日はお仕事先でご飯食べるんだってさ~。残念」
「そっか……って、何? 仕事って」
「ん~と……何だっけ。雑誌のどく、どく、……毒グモ?」
「……もしかして、読モのこと?」
「それだぁ~!!」

腕輪がカタカタと震え、メイの頭に声が響く。

『メイ』
(なに?)
『これから、よろしくお願いしますね』
(わかってらぁ。こちらこそな)

こうして、黒須メイ=キュアグレイブの長い戦いがその幕を開けた。
キュアグレイブの能力、その全貌はいかに?
謎の腕輪、そこに宿る意志は果たして何者か? そして、グレイブの戦う敵の正体とは?
全てはこれから、語られることになる……。





つづく




******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
第3話『出現! 驚異のグレイブフィールド!!』です。お楽しみに!




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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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