クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第15話

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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第15話

↑で紹介しているオリジナル設定が、ほとんど本編から消滅しつつある中、心機一転の第15話です。


******


管理国家ラビリンス、その中枢。
総統メビウスの前にかしずく影が一つ。

『全てのダークルンは再び、封印されたようだな』
「はい、残念ながら。……ですが」

長い髪を垂らした、美貌の女性。
だがそのあまりに完成された容姿が、見る者に言い様の無い畏怖の感情を抱かせる。

「トワイライトの遺跡から、入手できた物があります」

女性の掌の上、白い指の合間から現れる、深緑色の塊。

「滅びの大樹、ユグドラシルの種にございます」

プリキュアの力を浴びてなお、その内部では膨大な闇のエネルギーが脈打っている。

「この強靭な生命力を組み込めば、私の新たな下僕が誕生いたします」
『……FUKOのゲージも、ようやく頂点を迎えようとしている。その力をもってプリキュアを排除し、必ずやインフィニティを手に入れるのだ』
「はっ。全ては、メビウス様のために」



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第15話『インフィニティ現れる! プリキュア最期の日!?』



「私の怒りはたった今、頂点を迎えた……お前の言葉によってな!」
「な、なんだよ……黒須には関係無いだろ!?」

十数名のギャラリーが見守る中、教室の中央で口論するメイと大輔。

「だまらっしゃい!! 今すぐ、桃園さんと東さんに謝ってもらおうか!」
「ラブだけじゃなくて、お前まで保護者気取りかよ!」

二人に挟まれる格好で、慌てふためくラブ。

「メ、メイさん……」
「ラブ、メイ、どうしたの?」

騒ぎを聞きつけて、教室に入ってくるせつな。
近くの女子が、事の経緯を耳打ちする。

「最初は、ラブちゃんと大輔君が口ゲンカしてたんだけど……」
「大輔が東さんのことを悪く言った途端、ラブが言い返すより早く、メイさんが……」

ラブと大輔のケンカはある意味で日常茶飯事なのだが、そこに突如メイが乱入したことで、辺りは騒然としていた。
普段見せない剣幕のメイに、ラブも大輔も困惑を隠せない。

「メイ。私のために怒ってくれるのは嬉しいけど、ケンカはいけないわ」
「大丈夫だよ、東さん。……ケンカするほど、仲が良いって言うしなっ!」
「うわ!?」

大輔の肩に手を回し、乱暴に抱き寄せるメイ。
至近距離で大きな瞳に睨み付けられ、大輔の背筋が冷える。

「……東さんは私の友達だ。その友達を侮辱されて黙っていられるほど、私は寛大な人間じゃない」
「わ……わかったよ。……俺が悪かったよ」

せつなに向かって、頭を下げる大輔。

「まったく……東さんがちょっと桃園さんと仲良くしてるからって、嫉妬するなんて。これだから小さい男はな!」
「ぐ……てめ……っ!」

自分の耳などまったく痛くない様子で、オーバーに肩をすくめるメイ。
一方、図星を突かれて何も言い返せない大輔。

「しっ……と??」

状況が飲み込めず、首をかしげるラブ。

「まあ、身の程がわかればいいんだ身の程が、うむ。私も少々、言い過ぎたかもしれない。すまんな、知念。ハハッ」

勝ち誇った様子で大輔に背を向けるメイ。
席に着いたメイのもとに、見守っていた女子の何人かが集まってくる。

「メイさんカッコイイ!」
「私、ホレちゃうかも~~!」
「よせやい……本気にするぜ?」

取り巻く女子を適当にあしらいながら、困り顔のラブとせつなにVサインを送るメイ。


***


亡国トワイライトでの決戦。
最後のダークルンの封印。
そして、唐突な一つの別れ。
……あれから既に、ひと月が過ぎようとしていた。

(私の名前は黒須メイ。かつてはプリキュアだったこともある、今は普通の女子中学生)

街の雑踏を歩くメイ。
ビルのオーロラビジョンに、ナケワメーケと戦うプリキュアの姿が中継されている。
足を止め、街の人々に混じって共に声援を送るメイ。

(もう、プリキュアではないけれど……プリキュアを応援する、プリキュアと一緒に悪と戦う、女子中学生だ)

激闘の末、ナケワメーケに勝利する四人のプリキュア。
周囲で歓声が上がる。
両手を挙げ、あるいは抱き合ってプリキュアの勝利を祝う人々の輪の中で、静かに微笑むメイ。

(もう一度、プリキュアになりたいとは思わない。今は、その必要もない。……だけど)

視線を落とし、自分の左手首を見つめる。
うっすらと、白く残る、腕輪の痕。

(……一つだけ、心残りはある)


***


ラビリンスの館。
FUKOのゲージを見上げるサウラーとウエスター。

「おのれプリキュア……。だが、ゲージが満タンになるまであと少しだ!」

人々の不幸の蓄積を示すメーターは、振り切る寸前という位置まで動いている。

「そうだね。おそらくは、次のナケワメーケで決まる」
「では、どちらが行くか?」
「手柄を取り合うこともないだろう。最後は共同戦線と行こうじゃないか」
「う、うむ。なら作戦は、お前が……」
「もう考えてある。早速準備にかかろう」
「お……おお!」

踵を返すサウラーの後を、慌てて追いかけるウエスター。


***


夕暮れの道に伸びる三つの影。
ダンスレッスンを終え、帰路に着いたラブとせつな。
首からカメラを提げ、二人に続いて歩くメイ。

「今日のあたし、イマイチだったなぁ~~」

大きくため息をつくラブ。
その隣で、同じように肩を落とすせつな。

「それを言ったら、私も……どうしても、上手くいかない所があって」
「えぇ? せつなは今日も絶好調だったじゃん!」
「……私からしたら四人とも、プリキュアとして戦ったすぐ後であれだけ動けるんだから、相当すごいと思うけどな……」

呟いたメイの方を、振り向く二人。

「ねぇ。メイさんから見て、今日のダンスはどうだった?」
「メイの感想を聞かせて」
「そうだなぁ……」

カメラを手に取り、レッスン中の光景を頭に描くメイ。

「個人のダンスの出来はともかく、レンズを通して全体を捉えた限りでは……」
「「うんうん」」

顔を並べ、話に聞き入るラブとせつな。

「ダンスもプリキュアも、四人の息がよく合ってきて、様になってきた感じがするよ」

メイの言葉を聞いて、ラブの表情が輝きを取り戻す。

「よ~~し! ダンスもプリキュアも、もっと頑張るよ! そして、も~~っと幸せゲットしちゃうよ!!」
「そう、そう。桃園さんはそうでないと」

やがて、分かれ道に差し掛かる三人。

「じゃあね、二人とも」
「うん……」

小さく手を振り、二人に背を向けるメイ。

「メイ!」

夕日に染まった後姿が妙にくすんで見えて、思わず声をかけるせつな。

「……明日、待ってるからさ」

もう一度だけ振り向いて、言葉を返すメイ。

「絶対、来てよ!」
「……うん!」
「また明日、メイさん!」


***


その夜、蒼乃家。
美希のリンクルンが鳴る。

「もしもし……ブッキー?」
『あの、明日のプレゼントだけど……美希ちゃんは、何にした?』
「ふふん。それは明日までのヒ・ミ・ツ・よ!」
『えぇ~~……わたし、どうしても決まらなくて……』

電話越しに祈里の可愛らしい困り顔が目に浮かぶようで、つい意地悪に微笑む美希。

「でも、メイも水くさいっていうか、何ていうか。自分の誕生日、誰にも教えてないなんてさ」
『メイさんは、メイさんだから……。でも、キサナちゃんが教えてくれなかったら、お祝いできなかったね』
「……キサナ、か」

その名前に一瞬、想いを馳せる二人。

「明日、絶対楽しもうね」
『うん!』


***


メイの家。
薄暗い部屋の中、机に頬杖をついているメイ。
電気スタンドの白い光が、机上に並んだ写真立てを照らし出す。

「…………」

そのうちの一つを、手に取るメイ。
額の中に並ぶ笑顔。
ラブ、美希、祈里、せつな、メイ……そして、もう一人。

「……誕生日、来ちゃったよ」

彼女を写したものは、その一枚しかない。
……いつでも撮れるはずだった。
……別れなど無いと思っていた。
あの日、全てが明らかになるまでは。
……今はこの一枚と、胸に刻まれた僅かな情報が、自分にとっての彼女の全て。
その情報も、日に日に、櫛の歯が欠けるように失われていく。

「また、遠くに行っちゃうんだね」

手元の写真を見つめていながら、その瞳は虚ろに、記憶の彼方を彷徨う。

「明日がこんなに怖いなんて……前に進むのがこんなに怖いなんて……」

かつて味わったことの無い怖さだった。
明日に向かうことは、昨日から遠ざかること。
彼女と迎える日々が、いつしか当たり前になっていったように……彼女のいない明日もまた、当たり前のものになっていく。
それが怖い。たまらなく寂しい。

「キサナ……」

リンクロスを握り締めるメイ。
緑色の光と共に、十字架の中から姿を現すミドルン。
心配そうに、メイの頬に寄り添う。

「ありがとう、ミドルン……」

ゆっくりと閉じていく瞳。
記憶の中に逃げ込むように、いつしかメイは眠りについていた。

……
……
……

メールの着信を知らせる携帯のバイブレータ音が、意識を現実に引き戻す。

「……ん」

寝ぼけ眼で携帯を開くメイ。
液晶画面の表示を確認すると、現在の時刻は深夜12時、丁度。

「……姉さんからか……」

誕生日を祝う、ナラカからのメール。

「う~~ん……っ」

伸びをして、ベッドに向かうメイ。
倒れ込むようにして横になる。

「毎年欠かさず、ご苦労なことだよ……」

そのまま、目を閉じるメイ。

……
……
……

どれくらい過ぎたか。
ふと目を覚まし、枕元の時計に視線を向けるメイ。

「……あ……れ?」

長針と短針が、文字盤の頂点で重なり合っている。
時刻は先程と同じ、12時丁度を示していた。

「壊れたかな……」

横になったまま、今度は携帯の時刻表示を確かめるメイ。
……同じく、12時丁度。

「……??」

立ち上がり、窓へ向かうメイ。
カーテンを開けるも、外は暗く、月も上空に留まったまま。

「おかしいな……」

部屋を出て、居間の時計を確かめるメイ。
……全ての時計が、12時丁度で止まっている。

「一体今は、何時なんだ……?」

首を傾げながら、テレビのスイッチを入れるメイ。
画面に映し出されたニュースキャスターの口から、驚愕の事実が語られる。


***


『テレビの前の皆さん。本来ならば、お早うございます、と言う所ですが……夜が、まだ明けません!』

一方その頃、桃園家。
両親と共に、居間のテレビを見つめるラブとせつな。

『町中の全ての時計は、12時で止まったままです。一体、何が起こったのか……その原因は、全く掴めておりません』
「そんな!?」
「どうなってるの……?」

なおも緊迫した口調で続けるキャスター。

『このままでは、いつまで経っても明日が来ません!』
「……これって、まさか」
「ええ」

顔を見合わせ、頷くラブとせつな。
振り向くと、僅かに開いたドアの隙間から、タルトが手招きしている。


***


沈まない月、昇らない太陽。

「いつになったら夜が明けるんだ!」
「もしかして、世界の終わりなんじゃないのか……?」

不安に駆られ、混乱する人々。
闇に閉ざされた町を走るラブとせつな。
シフォンを背負い、二人を先導するタルト。
その手の中で、クローバーボックスが眩い光を放っている。

「もしやと思うて見たら、案の定、クローバーボックスに反応があったんや」
「やっぱり、ラビリンスの作戦だったのね……」
「その通りだ!」

行く手に立ちはだかる巨大な影。

「ナケワメーケ!」
「出よったな、ラビリンス!」
「ウエスター……それに、サウラーまで!」

ナケワメーケの両肩に立つ、サウラーとウエスター。

「フフフ……闇は人を不安にさせる。作戦通り、ゲージはもう満タンに近い」
「ここでFUKOを一気に貯め、今度こそインフィニティを手に入れてやるのだ!」
「君たちに明日は来ない。……永遠にね」
『アシタハ・コナ―――イ!!』

ラブたちに襲い掛かるナケワメーケ。
日めくりカレンダーを取り込んだボディに、太い鎖が絡みついている。

「このナケワメーケが、明日を縛り付けているんだわ!」
「じゃあ、ゲージが貯まる前に倒さないと!」

巨大な両腕がラブたちの頭上に振り下ろされる。
その刹那、

「ダブル!」
「プリキュア!」
「「キ――――ック!!」」

頭部への直撃を喰らい、吹き飛ばされるナケワメーケ。

「くっ!」
「出やがったな、プリキュアッ!」

ラブたちの左右に舞い降りる、ベリーとパイン。

「ベリー、パイン!」
「時間が無いのよね?」
「さっさと行くわよ、ラブ! せつな!」
「……うん!」
「わかったわ!」

リンクルンを構える、ラブとせつな。


***


「タルトさん!」

声をかけられ、振り向くタルト。
息を切らせながら、走ってくるメイ。

「グレ……メイはん!」
「やっぱり、ラビリンスの仕業だったんですね」

頷き、前方に向き直るタルト。
その視線の先、ナケワメーケの周囲を乱れ飛ぶ、四人のプリキュア。

「みんな、一気に行くよっ!」
「「「「プリキュア・コンビネーション・キ――――ック!!」」」」

四方から炸裂する波状攻撃。
堪らず、仰向けに倒れ込むナケワメーケ。

「よっしゃ――! 行けるで!」
「息ピッタリ……さすが、クローバー!」

メイと並んで声援を送るタルトの背で、突然泣き始めるシフォン。

「キュア~~~~~、キュア~~~~~~!!」
「シフォンちゃん!?」
「ど、どうしたんや、いきなり……?」


***


「ウエスター、カードを使え!」
「おう!」

道に止まった大型トラックに目をつけるウエスター。

「ナケワメーケ、我に仕えよぉっ!」

カードが突き刺さり、一瞬にして巨大化するトラック。

「デ、デコトラナケワメーケ……」
「ていうか、でっかっ!」
『ギッラギラヤゾゥ!!』

無数の電飾が一斉に発光し、怪光線がプリキュアを襲う。

「このっ!」
「あなたに構ってる場合じゃないのよ!」

次々と放たれる光線をかい潜り、カレンダーナケワメーケに接近するベリーとパッション。
その眼前に、サウラーとウエスターが立ち塞がる。

「「!」」
「そうは、させないよ」
「喰らえ!」

サウラーのキックとウエスターのパンチが、二人のプリキュアを跳ね飛ばす。

「ベリー! パッション!」
「ピーチ、危ない!」

怪光線からピーチを庇い、諸共に吹き飛ばされるパイン。

「フハハハハ……今度という今度は、終わりだな!」
「今日が、プリキュア最期の日というわけだ」

勝ち誇るサウラーとウエスター。

「くっ……!」
「このままじゃ……」

地面に倒れ伏した四人のプリキュア。
トドメを刺さんと迫る、二体のナケワメーケ。

「プリキュア、しっかりしろ!!」

四人の心が翳った時、闇を裂いて響く声。

「!」
「この声は……」

リンクロスを手に、叫ぶメイ。

「希望を捨てちゃいけない。……だってあなたは、完璧なんだから!」
「メイ……」

リンクロスが、希望の青い光を灯す。

「あなたの祈りは力になるって、私も信じてる!」
「メイさん……!」

続いて、キルンが象徴する黄色の光を。

「あなたが届けてくれる無限の愛は、こんな奴らに負けたりしない!」
「メイさん!」

ピルンの桃色を。

「約束したよね! 一緒に、幸せゲットするって!!」
「メイ!」

そして、アカルンの赤色を。

「そうよ……明日は、メイの誕生日なんだから……」
「わたしたち、絶対にお祝いするんだから……!」

メイの声援を背に受けて、一人ひとり、ゆっくりと立ち上がるプリキュアたち。

「私たちの明日。メイの明日。みんなの、明日……」
「返してもらうわ!!」

固く結ばれたプリキュアの意志。
その輝きに応えるように、四色のピックルンが宙を舞う。

「「「「プリキュア・クアドラプル・フレ――――ッシュッ!!!」」」」

スティックから、ハープから、眩い光の渦がナケワメーケを目がけて走る。

『『ナケワメーケェ!!』』

二体並んでバリアを展開するも、次第に圧されていくナケワメーケ。

「おい……まずいぞ、サウラー!」
「くっ……!」

四色に輝くリンクロスを、握り締めるメイ。

「行ける……!」

だが。
……勝利を確信した、その時。
轟音と共に大地が割れ、緑色の巨体がせり上がる。

「!?」

プリキュアの必殺技を遮るように、そびえ立つ緑の怪物。
蔓が絡み合った胴体、その裂け目から覗く赤い単眼。
ナケワメーケともナキサケーべとも異なる、不気味な姿。
光の渦を受け止め、瞬く間に消滅させる。

「何なの、こいつ……?」
「あたしたちの攻撃が、効かない!?」
「この力って、もしかして……!」
「ユグドラシル!?」
「……そんな、バカな……」

呆然と立ち尽くすメイ。
その足元で、泣きじゃくるシフォン。

「一体どうしたんや、シフォン……シフォン!!」

シフォンの額から、どす黒いオーラが溢れ出す。

「シフォン!?」
「ようやく、インフィニティが姿を現す時が来たようね」
「な……!?」

突如虚空に開いた、洞穴のような次元の裂け目。
その中から現れる、一人の女性。

「あ、あれは……!!」

この世ならざる美しさ。
そして全身から立ち上る、視覚に捉えられる程の、禍々しい瘴気。
その姿を目の当たりにして、パッションの声が震える。

「知ってるの!?」
「あれは、ラビリンスの最高幹部……!」
「我が名はノーザ。お前たちに、嘆きと悲しみを植え付ける者」
「……ノーザ……!」

謎の怪物の隣に並び、プリキュアと対峙するノーザ。

「お前たちでは、私のソレワターセには勝てない」
「ソレワターセ!?」
「それが、こいつの名前……!」
「じゃあ早速、インフィニティにご登場願おうかしら」

手をかざし、緑の怪物……ソレワターセに指示を与えるノーザ。

『……ソレワターセェェェェェ!!』

ソレワターセの鳴き声に打ち消されるように、唐突に止む、シフォンの泣き声。

「シフォン……?」

振り返ったプリキュアたちの前で、シフォンの体が白い燐光を放つ。
生気を失った瞳が、虚ろに開いて……。

『ワガナハ・インフィニティ……ムゲンノ・メモリーナリ』
「!?」

機械のように無機質な声が、辺りに響く。

「そんな……そんなことって」
「嘘でしょ……?」
「シフォンが……」
「……インフィニティ……!??」

背後から伸びたソレワターセの腕が、四人のプリキュアを捕縛する。

「きゃあ!?」
「しまった!」
「どこを見ているの? 隙だらけよ」

呆気に取られているサウラーとウエスターの方を、振り向くノーザ。

「サウラー君、ウエスター君」
「は、はいっ!」
「さっさとプリキュアにトドメを刺しなさい」
「……わかりました」
「よ……よし、行けぇ! ナケワメーケ!!」

ナケワメーケの光線が、身動きの取れないプリキュアに命中する。

「ぐっ……!」
「きゃああああっ!」

その光景を尻目に、悠然とシフォンに近づくノーザ。

「シフォンには絶対、手ぇ出させへんで!!」

猛然と飛びかかるタルト。
ノーザの袖から伸びた蔓が、鞭のようにその体を跳ね除ける。

「どわあぁ!」
「タルトさん!」
「インフィニティ、頂くわ」

手を伸ばし、シフォンに迫るノーザ。

「……そうはさせない」

両腕を広げ、ノーザの行く手を阻むメイ。

「メイさん……ダメだよ……」
「逃げて……メイ……っ」

もがき苦しみながらも、メイを案じるプリキュアたち。

「なるほど、お前がダークルンを封印したプリキュアね」

無言でノーザを睨むメイ。

「だけど今は、ただの人間……フフ」

一歩も退かず、静かに身構える。

「怪我をしたくなかったら、そこをお退き」
「……断る!」

拳を振りかぶり、突進するメイ。
だがそれより早く、ノーザの鞭が身体を打ち据える。

「やめて……!」
「メイ……!」

プリキュアの悲痛な声が、ノーザの耳に届く。
唇を微かに歪め、サウラーたちに向かって手をかざすノーザ。

「プリキュアへの攻撃を、一旦やめなさい」
「え……!?」
「何故です?」
「フフフ……」

地面に叩きつけられ、なおも立ち上がろうとするメイに、再び鞭が振り下ろされる。

「メイさん!」
「ノーザ! やめなさい!」
「そこでゆっくり見ているがいい、プリキュア」

地面に這いつくばったまま、拳を握り締めるメイ。

「お前たちの思い通りにはさせない……。この世界も、この町も……」

見下ろすノーザに、業火のように燃えたぎる視線を返す。

「もう二度と……私の前で、大切な物を失わせはしない」

その言葉を待っていたかのように、笑みを浮かべるノーザ。

「なら、代わりに頂くわね。お前たちの不幸を」

ノーザの鞭が、今度はメイの頬を打つ。
地面を転がるメイに向かって、次々と鞭が打ち込まれる。

「メイさん!!」
「ノーザ、あなた……!!」
「そう、その憎しみよ。……人の不幸は、蜜の味。とてもいい表情ね、プリキュア」

メイとプリキュアの苦痛、憎しみを同時に味わい、恍惚とするノーザ。

「でも、この玩具はもう壊れそうね」

ノーザの手がメイの首を掴み、吊り上げる。
セーラー服は無残に破れ、もはや腕一本、指一本を動かす力も残っていない。

「最後に、プリキュアに聞かせてやりなさい。大切な仲間の断末魔を」

ノーザの背から何本もの蔓が伸び、メイの全身を縛る。

「ユグドラシルから得たこの力で、お前の命を吸い尽くしてあげるわ」
「うぐ……あ……あ!!」

メイの身体が、ガクガクと痙攣する。
養分を得た歓びを表すかのように、蔓が激しくうねる。

「メイはん!!」
「お……生きてやがったのか、フェレット!」

ナケワメーケの間を走り抜けるタルト。
ノーザの手を離れ、糸を切られた操り人形のように崩れ落ちるメイ。

「しっかりするんや! メイはん!!」

ノーザには目もくれず、一直線にメイに駆け寄るタルト。
声をかけ、必死に身体を揺する。

「メイはん!! メイはん!! ……メイはん!!」

微動だにしないメイ。

「……メイ……はん?」

タルトの本能が告げていた。

「……う、嘘や……」

……そこに横たわっているものは、先程までメイ“だった”ものであると。

「頼む……なぁ……目ぇ、開けてたってや……」

力無く、傍らにへたり込むタルト。
その光景が否応無しに、ありのままの事実をプリキュアたちに知らしめる。

「そん……な……?」
「メイ……さん……」
「嫌あっ!! メイっ!!」
「メイ―――――っ!!」

絶望に満ちた叫び声が木霊する中、無数の蔓がシフォンを包み込む。

「儚いものね、人間なんて」

シフォンを手中に収め、高笑いするノーザ。

「メイさん……いやだよ……こんなの……いやだよっ!!」


……黒須メイ、死す。

新たな敵を前に、絶体絶命の窮地に追い込まれたプリキュア。
そして、インフィニティと化したシフォンはラビリンスの手に。
決して明けない絶望の夜に、我々は迷い込んでしまった。
この闇に、夜明けの光を灯す者はいるのだろうか?





つづく




******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
第16話『明日を取り戻せ! キュアブレイク誕生!!』をお送りします。
お楽しみに!





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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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意外な展開

本編34話+メイ版の23話(この中でイースが一旦メビウス指示で生涯終了を命じられ、アカルンの力によりキュアパッション誕生)という印象が強かった2部スタートの15話でした。
おそらくはこの勢いだと(次回タイトルから)2部スタートは3話に渡る展開になりそうな感じなので、次回のキュアブレイク(シルエットで登場した新プリキュアがこれか!?)登場がどんな感じになるか、今から楽しみです。

No title

本編で言うなら31話、34話、36話を合わせた感じの今回。
ソレワターセは公式とは違う設定のようですね。
内容的に、まさしく衝撃のラストでしたが、次回には新キュアの登場ということで今から待ち遠しい限りです
14話のラストに登場した少女が体としてはオリジナルのキサナ(キュアグレープ)だったとしたら畑中さんのいうように、やはり次回はメイさん版の23話のようなストーリーになるのでしょうか

コメントありがとうございます

>畑中智晴さん

原作と違って、イースは寿命が尽きる前に自ら命を燃やし尽くし、パッションに生まれ変わったわけですが、代わりに?ここでメイが死んでしまいます。
どこまでも鏡合わせな二人。
メイは前々から(特にここ5話くらいは連続で)無茶ばかりしてきた娘なので、まぁ、死ぬのも無理はないかという所はありますよね。
死と破壊を司るグレイブに、魅入られてしまったせいかもしれません。

次回はシルエットで先行登場していたアイツが、朝焼けの壊し屋が降臨します。
ご期待ください。

コメントありがとうございます

>柳星張さん

「大輔回は全て拾う」が裏テーマであります。
初の直接対決でしたが、動機がせつなのため、というのがメイの変化。ここぞとばかりに、ラブ絡みの私怨も入りまくってはいますが。
話数を節約するために、月一連載だった漫画版を参考に、幾つかのエピソードをまとめて消化しています。ちょっと豪華?な気分にもなれますしね!

ソレワターセは設定を変更したというより、追加してみたつもりです。原作でも実は、ノーザがどこからか入手したユグドラシルの種を組み込むことで、完成していた……というイメージで。
だから、プリキュアの力を完全に吸収するまでには至らなくても、打ち消してしまえるんですね。

次回もよろしくお願いします。

プリキュニスト同盟・SS募集テーマ

さて、「大プリキュア戦記」ですが、「ふたりはプリキュア Milky Way(ミルキーウェイ)」のヒカルミの世界さん(ライネスさんの方はまだですが、ヒカルミさんは多分大丈夫だろうと言ってました)や「WakeUP! プリキュア3shine!」のプラネスシフトのお2人からも参加OKとの事(それぞれのブログのコメントで表明)ですので、今後掲示板の方で統一設定を紹介したいと思います。
それまでは、フリースタイルのSSとテーマ設定(今回は「変身」「必殺技」)の2ジャンルでSS募集を行いますので、気が向きましたらご参加お待ちしております。
プロフィール

ヤネ

Author:ヤネ
フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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