クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第5話(改訂版)
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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第5話(改訂版)

改訂版。これから本編を読まれる方は、こちらを。


******


並んで道を歩くメイとキサナ。

「本当にプリキュアのいる場所がわかるの?」
「はい。この前の戦闘で得たデータをもとに、反応をたどれば」

立ち止まるキサナ。

「どうしたの?」
「……反応が……近づいてきます」
「え!? まさか、気付かれた!?」
「かもしれませんね」
「ど、どうしよう!? 敵だと思われてたりするかも!?」
「それは、無いと思いますけど……」

あわててその場から逃げようとするメイ。
微動だにせず、道の先を見つめるキサナ。

「キサナ! 私、まだ心の準備がっ!!」
「……来ます」

向かい側から現れたのは――。

「プリップ~~~」
「……へ?」

奇妙な声を耳にして、電柱の陰から恐る恐る顔をのぞかせるメイ。

「プ~リ~」

キサナの懐へ飛んでくるシフォン。

「な、なに? その人形??」
「これは……」
「シフォ――ン!」

息を切らせて走ってくるラブとタルト。

「よかった……。シフォンはいつも勝手にどこかへ行っちゃうんだもん。心配したよ」

キサナからシフォンを受け取るラブ。

「ありがとう! あなたはメイさんのお友だち? それとも――」
「(ピーチはん!!)」

タルトにつつかれて、ようやく現在の状況のまずさに気付くラブ。

「桃園……さん……?」
「ち、ちがうの! この子は、ちょっと変わってるけど、ただのぬいぐるみでっ!」
「ただのぬいぐるみが空飛んでたまるかぁ!!」

問い詰めるメイと、必死にごまかそうとするラブ。

「……なるほど、あなたが」
「「え?」」

キサナの言葉に、会話を止める二人。
ラブに向かってお辞儀するキサナ。

「よろしくお願いします。キュアピーチ」
「「え……」」

硬直するラブとメイ。

「紹介します。こちらがキュアグレイブこと、黒須メイです」

滝汗を流しながら顔を見合わせるラブとメイ。

「「えええ―――――っ!??」」



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第5話『仲間はいらない? メイの戦い!!』



桃園家。
一堂に会したプリキュア関係者たち。
ラブ、美希、祈里、タルト、シフォン。
メイ、キサナ。

「それじゃ、あらためて自己紹介しよっか。あたしは桃園ラブ、キュアピーチ! よろしくね、キサナ!」
「あたしは蒼乃美希。キュアベリーよ。……で、こっちが」
「山吹祈里。キュアパインはわたしね」
「わいはタルト。スイーツ王国の可愛いカワイイ妖精さんや。 ほんで、この赤ん坊はシフォンいいますねん」
「キュア~! キュア~!」
「私はキサナ。夜の王国トワイライトの使者です」

キュアグレイブ、そしてキイマジンについて説明するキサナ。

「そっか……今までずっと、メイ一人で戦ってきたのね」
「でも、今日からはわたしたち三人も一緒よ」
「…………」

なぜかメイの表情は暗い。
首をかしげる美希と祈里。

「あたし、メイさんがキュアグレイブで本当にうれしいよ!! ほら、シフォンもメイさんにごあいさつして!」

ラブに抱き上げられ、間近でメイと顔を合わせるシフォン。

「キュ……」
「……!」
「キュアァ~~~~~!!」

突然泣き出すシフォン。

「なんやシフォン、どないしたんや?」
「よしよし。初めてだから、びっくりしちゃったのかな? ごめんね、メイさん」
「……その子はわかってるみたいだね。私が桃園さんたちとは違うって」
「え……?」
「なに言ってるのよ。メイもあたしたちも、平和を守るために戦うプリキュアの仲間じゃない」
「みんなで力を合わせれば、どんな怪物が襲ってきても大丈夫だって、わたし信じてる!」
「…………」

ラブたちと目を合わせようとしないメイ。

「メイさん……?」

途切れる言葉。
一瞬の静寂の中、キサナの瞳が紫色に輝く。

「キイマジン反応……!」
「!」
「おいでなすったわね!」
「メイさん、急ごう……って、あれ?」

部屋の中にメイの姿は無い。

「い、いつの間に……」
「あたしたちも行かなくちゃ! キサナ、案内して!」
「わかりました!」

街灯が照らす黄昏の道を走るメイ。
リングルンを通して語りかけるキサナ。

『メイ!』
「リングルンの反応から、大体の方角は読み取れるようになったよ」
『いまキュアピーチたちも合流させます。協力してダークルンを回収しましょう』
「……私は独りでやらせてもらうから」
『メイっ!?』

「……チェインジプリキュア!!」


***


ビルの谷間に浮遊する何者か。
頭には赤く大きなトンガリ帽子、宝玉をあしらった杖に腰掛け、フワリフワリと宙を舞う。

「イニシャルW……赤い帽子の魔女か」
「わたくしの名は、ウィッチ・ティノラ。 ダークルン四姉妹が三女ですわ」

帽子の下から、いかにも気位の高そうな金髪の少女の顔が現れる。

「喋った……?」
『封印から解放され、ダークルンも徐々に本来の能力を取り戻しつつあるようです。回収を急がなければ』

空中に浮かぶウィッチと対峙するグレイブ。
そこへ合流するピーチ、ベリー、パイン。

「メイさん、おまたせ!」
「あれがキイマジン!?」
「女の子みたい……」

キイマジンの容姿に、驚きを隠せないピーチたち。
そんな様子を見下ろしながら、優雅に舞うウィッチ。

「せっかく姿を手に入れたというのに、また封印されるだなんてまっぴらご免ですわ」
「ハイハイ。大人しくしてくださいね、お嬢さん!」

跳躍し、ウィッチの正面から拳を打ち込むグレイブ。
だが、目の前に突如現れた光の魔方陣がその攻撃を弾き返す。

「!?」
「そんな攻撃、きっかな~いのですわ!」

杖を振り回し、グレイブに向けて魔導弾を連射するウィッチ。
数発はトンファーで受け止めたものの、防ぎきれなかった弾がグレイブの左肩に命中する。

「くっ」

肩を押さえ、地面を転がるグレイブ。

「メイさん!」
「――このぉ!」
「えいっ!」

天から地から、ウィッチを挟撃するベリーとパイン。
しかし、同時に二つ出現した魔方陣に阻まれてしまう。

「ダメだわ!」
「効かない……!」
「わたくしの絶対障壁陣をその程度の攻撃で破れると思ったら、おぉ~間違いですわ!」

高笑いとともに杖を高速回転させるウィッチ。
魔導弾が辺りに降り注ぐ。

「このままじゃ!」
「町が壊されちゃう!」
「……みんなの力を合わせよう!」

ピーチの言葉にうなずくベリーとパイン。

「その必要は無いよ」
「メイさん!?」

立ち上がると、一人で魔導弾の雨を突破していくグレイブ。
ウィッチに向けて一直線に飛び、そのままパンチを繰り出す。

「何度やっても同じことですわ!」

展開される魔方陣。
グレイブの左腕、リングルンが光を放つ。

「ハァアアッ!!」

次の瞬間、魔方陣を貫いた左の拳がウィッチを捉えた。

「ぐぁ!?」

中心に大穴を開けられ、消滅する魔方陣。
すかさず左手でウィッチの肩を捉え、右の拳の連打を浴びせるグレイブ。
その猛攻に息を呑むピーチたち。

「ぐっ……あっ……どうし、てっ!?」
「その程度の空間制御なんて、グレイブの力の前には無意味なんだよ」

ビルの壁面に叩きつけられるウィッチ。

「お……おのれ……」

身動きのできないウィッチに向けて、無情にトンファーを構えるグレイブ。

「わたくしを倒しても、必ずや他の姉妹が、あなたを――」

言葉を遮るように、ウィッチの胴にトンファーが突き刺さる。

「……ロックブレイク」
『キィィィィィィィ!!』

断末魔をあげて砕け散り、ダークルンに戻るイニシャルW。
地面に落下し、乾いた音を立てて跳ねる赤いカラーコーン。
その隣に着地するグレイブ。

「や……やったね、メイさん!」

笑顔で駆け寄るピーチたちを制止するように、手のひらを向けるグレイブ。

「……ねえ、桃園さん」
「?」
「キイマジンの相手は、私一人で十分だからさ。みんなはラビリンスとの戦いに集中してもらえるかな」
「でも……」

グレイブの瞳がピーチを正面から見据える。

「もう一度言うよ。私に助けは必要無い」
「メイ……さん」

三人に背を向け、去っていくグレイブ。

『……リングルンの力に頼り過ぎです。これ以上、未完成のリングルンに負荷をかけるのは得策とは言えません』
「だから、桃園さんたちと協力しろってこと?」
『彼女たちとラビリンスとの戦いに手を出すなといったのは私です。でも、それはあくまでリングルンの消耗を抑えるためです。逆の場合まで禁じているわけではありません』
「……足手まといが三人もいちゃ、勝てるものも勝てないよ」
『メイっ!?』


***


翌日の学校。

「メイさん!」
「…………」

ラブの声を無視し、終業とともに教室を出て行くメイ。

「メイさん……」
「今日は朝からずっと、機嫌悪かったよね」
「転校してきたばかりの頃に戻ったみたい」
「……ラブ、ケンカでもしたの?」

由美たちクラスメイトの言葉を受け、自分の胸に手を当てるラブ。

「あたし……メイさんに嫌われること、しちゃったのかな……」

ラブのリンクルンが鳴る。

「もしもし、美希たん? ……うん、わかった!」

学校を出て、公園へ向かうラブ。
ドーナツカフェに美希、祈里、そしてキサナの姿。

「キサナ!」
「こんにちは」

ラブに向かってお辞儀をするキサナ。

「あ、こんにちは……って、ブッキーも?」
「キサナちゃんから、うちの動物病院に電話があったの」
「あたしの家のビューティーサロンにもね。……それで、相談って何なの?」

ゆうべのメイの様子を話すキサナ。

「メイがなぜ頑なに協力を拒むのか、私には見当がつかなくて……」
「……確かに、メイさんはわたしたちより強かったわ。でも、一人だけではどうにもできない時もあると思うの」
「メイが何を考えてるのか知らないけど、一刻も早く無茶をやめさせるべきね」
「あたし、メイさんに会ってみるよ」
「……え?」
「もしかしたら、あたしがメイさんに嫌な思いをさせちゃったのかもしれないんだ。……だから、もしあたしのことが嫌いでも、みんなと一緒に戦ってくれるように頼んでみる。メイさんのために!」
「キュアピーチ……」

ラブに続いて立ち上がる美希、祈里、キサナ。
だが次の瞬間、固まったようにキサナの動きが止まる。

「キサナちゃん?」
「……ダークルンの反応です!」
「「「!」」」

一方その頃、メイは一足先にキイマジンがいる場所へと向かっていた。

『待ってください、メイ!』
「待てないよ。被害が出る前にキイマジンを倒さなきゃ」
『それは、そうですが……』
「桃園さんたちを待ってる暇なんて、無い」

夕闇の中を、独り駆け抜けるメイ。

(私に仲間はいらない。これまでも、これからも、一人で戦うプリキュア。……そう、玉座を守る王は一人で十分なのだから)


***


建設途中の高層ビルが立ち並ぶ再開発地区。
吹きすさぶ風の中をやってくるメイ。
四方をビルに囲まれた作業場で足を止める。

『メイ、キイマジンです!』
「!」

ズシン。
大地が揺れ、周囲のビルの窓ガラスが激しく波打つ。
よろめくメイの手前。建物の向こうから、巨大な影が姿を現す。

「……わぁお」

身の丈20メートルは優に超える、鋼の大巨人が端子を見下ろしていた。

『イニシャルT。タイタンです!』

直径5メートルは下らない、超巨大な鎖つき鉄球を振り回すタイタン。

『グィィィィィィィィ!』

その叫び声が周囲のビルに反響し、共振した窓ガラスが悲鳴のような音を立てる。

「うるっさっ! 今すぐ黙らせてほしいみたいだな!」

リングルンを起動し、プリキュアに変身するメイ。

「チェインジプリキュア・クロスオーバー!」

放たれる鉄球。
紅いマフラーをなびかせ、真上にジャンプするグレイブ。
背後にそびえるビルの根元に鉄球が炸裂し、一瞬にして瓦礫の山と化す。

「こんな奴、野放しにしておくわけにはいかないね!」

宙返りして向かいのビルの壁面を蹴り、タイタンの頭上へ跳ぶグレイブ。

「大気反転!」

リングルンが輝き、グレイブフィールドが展開されようとした瞬間――。

『キイマジン反応! 急速に接近!!』
「――っ!?」

突風とともに、猛烈な勢いでグレイブに迫る影。
不意打ちを喰らい、ビルの谷間へと墜落するグレイブ。
立ち込める土煙の中、空を仰いだグレイブの視界に巨大な鳥のような姿が映る。

『識別。イニシャル、Hです!』
「くっ……」

茶褐色の民族衣装に身を包んだ女性。
両腕から巨大な鳥の翼が伸び、細く長い足の先には鋭いカギ爪が伸びている。

「私の名はハーピー・ロメア、ダークルン四姉妹が次女。 ゆうべは妹が世話になったみたいじゃないか、ん?」

土ぼこりを払い、立ち上がるグレイブ。

「不意打ちとはまた、ずいぶん味な真似をしてくれるね」
「不意打ち? 私の速さにお前がついてこれなかっただけのことさ」
『メイ、二対一では不利です。一時撤退を』
「……それはどうかな」
『メイ!』

ビルの鉄骨を足場にし、二段ジャンプでハーピーに飛びかかるグレイブ。
しかしハーピーはその拳を難なくかわし、さらに天高く舞い上がる。

「!」
「お前に私が捉えられるものか! 喰らいなッ!」

ハーピーが右手を掲げると、虚空から紺碧の弓が出現する。
空中で無防備となったグレイブに向け、弓を引くハーピー。

「大気、反て――」

左腕を掲げ、再びフィールドを展開しようとするグレイブ。

「――っ!?」

ウィッチの攻撃を受けた左肩が痛み、一瞬動きを止めるグレイブ。
ハーピーの弓から放たれた見えない矢が、グレイブの脇腹を打ち抜く。

「あうっ!」

真っ逆さまに落下するグレイブ。

「ふふ。どうだい、“空気の矢”の味は」

地面に叩きつけられ、激痛にもがくグレイブにタイタンが迫る。

「ぐっ……!」
「やっちまいな、タイタン」
『グィィィィィィィ!!』

グレイブの真上から鉄球を振り下ろすタイタン。
轟音とともに大地が割れ、建物から資材が落下し、窓ガラスが一斉に砕け散る。
タイタンが陥没した地面から鉄球を引き抜くと、その下からグレイブの姿が現れる。

「ぐっ……はう……っ」
「はは、丈夫なヤツだ。……タイタン!」

再び鉄球がグレイブの直上に振り下ろされる。
震動に耐え切れなくなった建設途中のビルが、地鳴りとともに崩れ去る。
鉄球を手繰り寄せるタイタン。
土煙が晴れると、土砂と瓦礫に埋まったグレイブが見える。

『メイ! メイっ!!』
「…………」

さしものキュアグレイブも、ダークルン最強の剛力を持つタイタンの攻撃を二度もまともに受け、そのダメージは極限に達していた。
頭に直接響くキサナの声ですら、今のグレイブには遥か遠く、微かに聞こえるのみ。
薄れゆく意識。霞みゆく視界の中で、タイタンが三度鉄球を振り上げるのが見えた。

『メ――――イっ!!』
「トドメだ」

その時――。

「待ちなさいっ!!」

吹きすさぶ風が、一斉にその動きを止めた。
闇に沈もうとしていたグレイブの意識に、光が差す。

(桃園……さ……ん?)

倒壊をまぬがれたビルの屋上、月を背負って立つ三つのシルエット。

「お前たち……まさか!?」
『……プリキュア!!』

その名を冠する者。
全ての世界、全ての人々の幸せを守るために、今。
遥かなる時を越えて蘇った、伝説の戦士。

「ピンクのハートは愛あるしるし! もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!!」
「ブルーのハートは希望のしるし! つみたてフレッシュ、キュアベリー!!」
「イエローハートは祈りのしるし! とれたてフレッシュ、キュアパイン!!」
「――レッツ!」

「「「プリキュア!!」」」

瓦礫の中で上半身を起こすグレイブ。

「くっ……」
『メイ! プリキュアが! プリキュアが来てくれました!』
「プリキュア……?」

苦痛に顔を歪めながら、搾り出すように叫ぶグレイブ。

「手を出すな!!」
「メイさん!?」
「これは……私の戦いだ!!」
「ちょっと、そんなこと言ってる場合!?」
「ここは、わたしたちにまかせて!」
「メイさん、今いくよ!」

グレイブのもとへ飛ぶピーチ。
二人を守ってキイマジンの前に立ちはだかるベリーとパイン。

「プリキュアは一人じゃないのよ!」
「これ以上、メイさんに手出しさせない!」
「……かつてお前たちに封印された因縁、ここで晴らしておくのも悪くはないか。タイタン!」
『グィィィィ!』

両者の激突を背に、グレイブの側に着地するピーチ。

「メイさん!」
「……来るな!」

再びグレイブの口から発せられる、拒絶の言葉。
それを受け止めながら、自分の心のままの言葉を投げかけるピーチ。

「……メイさん、あたしのことが好きじゃないなら、……キライなら、それでもいいよ。だから、お願い。メイさんのこと、あたしの大切な人のことを、この手で守らせてほしいの」
「…………」
「そのためにあたしは、プリキュアになったんだもん」

風が二人の髪を揺らして吹き抜ける。

「……キライなんかじゃ、ない」
「……メイさん……?」
「私は、桃園さんを尊敬してる。いつも元気で、優しくて、すごく強い。……私のこと、何度も助けてくれた」
「…………」
「桃園さんは言ったよね。……私は、桃園さんにはなれない。私には、私の道があるって」

うつむき、両手の下の土砂を握り締めるグレイブ。

「……でも、私はなりたかった。桃園さんみたいに、母さんみたいに、強く、優しくなりたかった。……だから、プリキュアになった」
「…………」
「なのに……それなのに今、桃園さんに助けられたら」

グレイブの、メイの声が震える。

「……私は結局、私のままじゃないか!」

その瞳から、涙が零れ落ちる。

「私は……私は!」

瓦礫を押しのけ、よろよろと立ち上がるグレイブ。
足がもつれ、前のめりに倒れ込む。

「くっ!」
「メイさん!」

なおも懸命に立ち上がろうとするグレイブに、ゆっくりと歩み寄るピーチ。
その傍らに、寄り添うように膝をつく。

「……あのね、メイさん」
「…………」
「あたしがあたしでいられるのは、支えてくれる人たちがいるから」

ピーチの眼差しを受け、強くうなずくベリーとパイン。

「誰だって、自分ひとりで完璧になんてなれないわ」
「自分を信じる心。そして、誰かを信じられる心」
「それがあたしたちの強さ。それがプリキュアのあかしなんだよ」
「プリキュアの……あかし……」

グレイブに手を差し伸べるピーチ。

「だからいっしょに戦おう、メイさん。……みんなの幸せ、あたしたちの幸せ、ゲットするために」
「…………」

涙をぬぐい、ピーチの手を借りずに立ち上がるグレイブ。

「メイさん……」
「……今の私は、メイじゃない」

ピーチに背を向け、キイマジンを見やる。

「冥府を望む玉座、キュアグレイブ。……足手まといはお断りだからね? キュアピーチ」
「……うん! よろしくね、キュアグレイブ!!」

満面の笑顔でうなずくピーチ。
背中越しにその声を聞き、フッと笑みを浮かべるグレイブ。
ピーチとともに、苦戦するベリーとパインに合流する。

「グレイブトンファー!」

右手でトンファーを振るい、パインを狙う空気の矢を打ち消すグレイブ。
タイタンに弾き飛ばされたベリーを抱きとめるピーチ。

「ありがとう、メイさん……ううん、キュアグレイブ!」
「まったく、頑固なんだから。……そういうの、キライじゃないけどね」
「よーし、みんなの力を合わせるよ!」
「うん!」
「ええ!」
「わかった!」

並び立つ四人のプリキュア。

「あれだけ痛めつけたのに、元気なヤツだねぇ。そんなにトドメを刺してほしいのか?」
「言っておくけど、トドメを刺されるのはそっちの方だよ。……大人しく降参すれば、痛くないようにロックブレイクしてあげるけど?」
「……ほざけ。 タイタン、捻り潰せ!」
『グィィィィィィ!』

巨大な鉄球を凄まじい速度で振り回すタイタン。

「お前たちが何人集まろうと、タイタンの剛力と私のスピード、そのどちらにも遠く及ばない!」

身構える三人のプリキュア。
トンファーを携え、一歩前に出るグレイブ。

「……グレイブ?」
「ハァッ!」

グレイブの手からトンファーが投擲される。
回転し、タイタンを目がけて飛んでいくトンファー。

「ハッ、そんなモノがタイタンに効くとでも――」

緩やかにカーブし、トンファーはタイタンの手元へ向かう。
そしてタイタンが振り回す鉄球の、『鎖』を粉砕した。

『グィ!?』

放り出された鉄球は、遠心力にまかせて宙を舞い――。

「何だとッ!?」

――傍らで滞空していたハーピーを直撃する。

「ぐあああああああああッ!!」

ハーピーもろとも、背後に建つビルの最上階に突っ込む鉄球。
床をぶち抜きながら、最下層まで落下する。

『グィィィィ!?』

戸惑うタイタンを三方から取り囲むピーチ、ベリー、パイン。

「「「悪いの悪いの飛んでいけ!」」」

「プリキュア・ラブ・サンシャイン!!」
「プリキュア・エスポワール・シャワー!!」
「プリキュア・ヒーリング・プレアー!!」

プリキュアのエネルギーを放射され、キイマジンを構成するダークルンのエネルギーが対消滅していく。
光に包まれて動きを止めるタイタン。

「グレイブ!」

タイタンの頭上へ跳んだグレイブの手に、大きく弧を描いてトンファーが戻る。

「ロックブレイク!!」

両手でトンファーを振りかぶり、タイタンの額に突き立てるグレイブ。
光のリングが幾重にも、巨体の隅々まで広がる。

『グィィ……ィ』

砕け散り、クレーン車の姿へと戻るタイタン。
瓦礫と鉄球の下敷きになり、身動きできないハーピーに近づくグレイブ。

「ふ……ふ。まさか、この私がお前たちごときに負けるとはね」
「仲間の存在は、時に命取りになるってこと。……肝に銘じておくよ」

ハーピーの肩口をトンファーで突き、ロックブレイクするグレイブ。
キイマジンは消滅し、宿主の姿へと還る。
グレイブの手のひらでさえずる一羽のスズメ。

「おや、かわいい」
「スズメさんだったのね」
「……災難だったわね、あなたも」

瓦礫の山となってしまった作業現場に立つ、四人の少女。

「さて、みんなは早く帰らないと。……家族が心配するよ」
「ねえ、メイさん」
「ん?」
「……久しぶりに、いっしょに夕ご飯食べようよ」
「え……」

ラブからの突然の提案に目を丸くするメイ。

「昨日の夜、話し合ったのよ。みんなでメイの家に遊びに行こうって」
「もちろん、キサナちゃんもいっしょよ」
『いいですね。たまにはメイの手料理以外も食べないと、味覚がおかしくなりそうですし』
「だまらっしゃい! ……でも、いきなりそんなこと言われても」
「メイさんの都合が良くなかったら、迷惑だったら正直に言って。そしたら、また今度にするよ」
「いや……」
「気にしなくったっていいんだよ。あたしたち、友達なんだから、ね?」

ラブの笑顔を受け、うつむいて口ごもるメイ。

「わ、私は……別に、いいけ……ど」
「ホントっ!?」

メイの両手を握り、顔を寄せるラブ。

「う!」

間近でラブと向かい合い、メイの脳内が一瞬白く飛ぶ。
あわてて手を振りほどき、三人に背を向けるメイ。

「きょ……今日だけは、特別に許可する」
「「やったぁ!」」

笑顔でハイタッチするラブと祈里。

「なんでそんなに偉そうなのよ」
「あいたっ」

メイの正面に回り、額を指で弾く美希。

「さ、遅くなる前に買い物に行きましょ!」
「待っててね、キサナちゃん!」
『はい!』
「そうだ。タルトとシフォンも連れてこようよ。ね!」
「こ、こら……みんな、置いてかないでよぉ!」

勢いよく走り出した三人を追いかけるメイ。
真っ白な月と瞬く星々が、彼女たちの進む道を照らし出している。





つづく


******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
『祈里とメイ アニマルキイマジンを追え!』をお送りします。お楽しみに!





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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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