クロスオーバー! フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第19話

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フレッシュプリキュア! クロス†オーバー 第19話

三ヶ月の沈黙を破り、キュアムーンライトとともに復活!
内容憶えてねえよという方は、ちょこっと戻って読み返してください……すみません。

船上パーティー回です!


******

クローバータウンストリート。
通りの中央で向かい合う、メイと祈里。

「山吹さん……私に用って、何?」
「うん……あのね……」

二人の間に漂う、得体の知れない緊張感。
胸の前で両手を握り締め、意を決して口を開く祈里。

「わたしと……付き合ってほしいの!!」

吹き抜ける秋風が梢を鳴らし、落ち葉を舞い上げる。
しばしの沈黙。
眩暈を抑えるように、額に手をかざして俯くメイ。

「な、なんと……いや、しかし……」
「いきなりこんなお願いして、ごめんね。迷惑だよね」
「う……嬉しいよ山吹さん。嬉しくないわけは無いさ。……でも……でもね」
「わかってるわ。それでも、メイさんに付き合ってほしいの」
「私には……私には、桃園さんという」

苦渋の表情で首を横に振るメイに、一枚のチケットを差し出す祈里。

「わたしと一緒に、船上パーティーに付き合ってほしいの!」
「…………はい?」



フレッシュプリキュア! クロス†オーバー
第19話『大海戦! 船上パーティー波高し!!』



砂浜から、洋上の豪華客船を眺めているラブたち。
足元では、タルトとシフォンが砂遊びをしている。

「いいなぁ~~、ブッキーとメイさん。今ごろ、キラキラのお姫さまなんだろうなぁ」
「そうね。健人君がプレゼントしてくれたドレス、きっとブッキーに似合うわ」
「あたしは、メイのセンスが心配だったけど……ドレスもあちらが用意してくれるっていうし、きっと大丈夫よね」

各界の著名人が集う、御子柴グループ主催の船上パーティー。
そこに招かれた祈里と、何故か付き添うことになったメイ。
果たしてその頃、二人は――。


***


「……ぶえっくし!!」

船内とは思えない、広い廊下。
ロングスカートを揺らしながら、そこを進む少女。
人差し指で、高い鼻の頭を軽く撫でる。

「……フッ、町で噂の美少女というのも、楽じゃないな」

……控え室。
ドレスを着た祈里と、同じく正装した健人。

「あ、あの……山吹さん」
「は、はい!」
「来てくださって、ありがとうございます」

隣に立った健人に話しかけられ、慌てて椅子から立ち上がる祈里。

「そのドレスも、よくお似合いです」

祈里の可憐さを引き立てる、山吹色のドレス。
胸に施されたクローバーの刺繍が、贈り主の込めた思いを表すかのようだ。

「は……はい……」

慣れない服と周囲の環境に、体を強張らせる祈里。
豪奢なドレスに身を包みながらも、その姿はいつもに増して小さく、弱々しく見える。

(メイさん……わたし……)

祈里の心の声に応えるように、響くノック音。

「……どうぞ」

健人の返事を受けて、開く扉。

「……メイさん!」
「よっ、祈里姫」

花が開くように、祈里の表情に彩りが広がる。
健人に向かって軽く会釈しつつ、祈里へウインクを飛ばすメイ。
およそ中学生らしからぬ黒一色のイブニングドレスに、桜色のボレロを羽織っている。
普段は片目を隠している前髪を一部アップにし、ガラリと変わった雰囲気はまるで別人のようにも見える。

「……!」

思わず息を呑む祈里。

「黒須さん、そのドレスは……」
「母さんのお古。……ゴメンね。用意してくれたドレス、私には可愛すぎると思ってさ」
「いえ、こちらが勝手に贈った物ですから……それに、本当にお似合いです、そのドレス」
「ふ……当・然」

ちっちっと指を振りながら、誇らしげにターンするメイ。
言葉も無く、まるで宝石を眺めるように、キラキラと瞳を輝かせる祈里。


***


『皆様、中央階段にご注目くださいませ。御子柴グループを代表して、このプリンセス号責任者、御子柴健人の挨拶です。どうそ、盛大な拍手でお出迎えください!』

シャンデリアが照らす、赤絨毯のパーティー会場。
グラスを片手に、ゆっくりと階段を降りてくる健人。
その背後に、付き従うように歩く祈里。
グレープジュースの注がれたグラスを傾けながら、その様子を眺めているメイ。

「プリンセス号へようこそ、御子柴健人です」

健人に合わせるように、慌ててお辞儀をする祈里。

「皆さん、どうか夢のひとときを堪能してください。それでは……乾杯!」

一斉にグラスを掲げる招待客たち。
笑いかける健人に、硬い笑顔で応える祈里。

(やっぱり……無理……)

パーティーの幕開けと共に、来賓に囲まれる健人。
彼を遠目に、ソファーに腰掛けた祈里とメイ。

「想像はしてたけど、やっぱり私たち、場違いっていうか……居づらいね」
「うん……」

隣でため息をつく祈里の手を取り、立ち上がるメイ。

「メイさん?」
「外、出てみようか」


***


陽の光が降り注ぐ船の甲板。
頭上を海鳥の群れが羽ばたいていく。
羽根を伸ばすように、大きく深呼吸するメイ。

「ちょっと風が涼しいけど、気持ちいいね」
「うん!」

手すりに掴まって、一面の大海原を見渡す二人。

「珍しいよね。この組み合わせで、二人きりなんて。……ヘタしたら、フェンリルの時以来じゃないかな」
「うん……」
「どうして、私なの?」
「……え?」

ずっと抱いていた疑問を、思い切ってぶつけるメイ。

「いや……一人で来るのが不安だったのはわかるけど、どうして私を誘ってくれたのかなって」
「……メイさんは、健人君と同じクラスだし……」
「それなら、私より彼との付き合いが長い、桃園さんでよかったわけでしょ?」
「うん……」
「まぁ、こういう場には私たち以上に、向いてないとは思うけどさ」
「それはね……その」

顔を伏せ、恥ずかしそうに、小声で呟く祈里。

「……ドレス」
「ん??」
「ドレス。着たら、綺麗だと思ったの……メイさんが」
「え……」

顔を赤くし、黙ってしまう祈里。

「も……物好きだなー、祈里姫も。あははは……」

精一杯の軽口を叩きながらも、つられるように顔を紅潮させるメイ。
話題を探してさまよう視線が、下界の人だかりを捉える。

「あれは……」


***


「山吹さんたち、どこへ行ったんだろう……」

二人を探して船内を歩く健人の耳に、どこからともなく歓声が聞こえてくる。
その一角は、動物サーカスの会場となっていた。

「山吹さん!?」

観衆に囲まれた中央、大きな花輪を持って立つ祈里。
猛獣使いに導かれたホワイトタイガーが、ゆっくりと彼女に近づいていく。
慌てて飛び出そうとした健人を、脇から出た手が制止する。

「……黒須さん!」
「大丈夫だから、見てなって」

臆することなく、花輪を掲げる祈里。
一跳びでその中心をくぐると、彼女の足元にかしずくホワイトタイガー。

「あっ……」
「……ほら、ね?」
「皆様、勇敢なお嬢さんに盛大な拍手を!」

祈里の勇気を称える猛獣使い。
周囲から、拍手と歓声が注がれる。
ホワイトタイガーと並んで、笑顔でそれに応える祈里。

「怖くないんでしょうか、山吹さん。あんなに楽しそうに……」

実はキルンの能力によって、祈里と白虎は互いの意思を疎通させている。

「あれが、本当の彼女だからね」

リンクロスの“キルンリンク”によって、メイには両者の会話が聞こえていた。

「本当の……?」

……だが、それ以上に。

「自分を、大好きな動物たちのことを、何より信じているから。だから、怖いことなんて無いのさ」
「……自分を……」

顔を伏せ、言葉を詰まらせる健人。

「僕は、信じられません」
「御子柴君……?」
「……僕は将来、御子柴グループのトップに立たなくてはなりません。今回の船上パーティーも、両親が僕を鍛えるために企画したんです」
「…………」

腕を組み、静かに健人の話に耳を傾けるメイ。

「でも、すごく不安で。……自分を、信じられなくて。だから、山吹さんを招待したんです。……山吹さんがそばにいてくれたら、心強いと思って」
「なるほど……ね」
「すみませんでした、僕の勝手な都合で二人を困らせてしまって。僕は自分のことしか考えてない、ダメな奴なんです」
「たしかに……ダメかもね」

ため息をつき、健人の肩に片手を置くメイ。

「とりあえず、ゲストの前で自分を卑下するのはお止めなさいな」
「黒須さん……」
「君の背負ってるものは、この船よりも遥かに大きいんだね。私なんかには、それこそ想像もつかない世界だよ」

ホワイトタイガーに別れを告げ、拍手の中をゆっくりとこちらに戻ってくる祈里。
小さく手を振って迎えながら、言葉を続けるメイ。

「けれど、背負ったものの大きさと、自分を信じられるかどうかとは、別の問題だよ」
「……え?」
「問題は、それがどれだけ自分にとって大切かどうか。大きさに負けそうになったら、大切なもののことを思い出して。……彼女が、そうであるように」

健人の姿に気付き、あわてて駆け寄ってくる祈里。

「山吹……さん」
「健人君! ……ごめんなさい、勝手に部屋を離れて……」
「いいんです。楽しんでいただけているようで、安心しました」
「ええ。ありがとう、健人君!」

祈里の笑顔につられるように、照れくさそうに笑う健人。

「ねぇ、御子柴君。話の続きだけど……それだけじゃ、ないよね?」
「はい……?」
「彼女をここへ招待した理由は」

意地の悪い笑みを浮かべ、健人の顔を覗き込むメイ。

「そ、それは……」
「健人君?」

目を逸らし、口ごもる健人の肩を、ぽんぽんと叩くメイ。

「せいぜい頑張るといいさ。ただし、彼女に迷惑かけるようなことがあったら、私がタダじゃおかないけどねぇ……?」

観念したように、メイの方を振り返る健人。

「厳しいですね……まるで、姫を守るナイトだ」
「フッ。……元より今日は、そのつもりさ」

言い切ると、誇らしげに胸を張るメイ。

「……?」

二人の間で、首をかしげる祈里。
……瞬間。
鈍く重い金属音とともに、床が小さく震動する。

「今の音は……」
「船体に、何かがぶつかった……?」

招待客たちの間にも、ざわめきが広がる。

「私、ちょっと様子を見てくるよ」
「黒須さん!」

後を追おうとする健人を遮るように、手をかざすメイ。

「御子柴君は、みんなと一緒にいた方がいい」
「しかし……」
「責任者でしょ? 頼りにしてるからね!」

去り際にウィンクを残して、廊下の向こうへ消える。

「メイさん……」


***


床や壁を伝わってくる微弱な震動を頼りに、船内を進むメイ。
人気の無い、薄暗い一角へと向かっていく。

「……ここだな」

今回のパーティーには、使われていない広間。
ゆっくりと扉を開き、闇に目を凝らすメイ。
リンクロスを握り締めながら、部屋の中へと踏み込んでいく。

「……!?」

彼女を待っていたかのように、唐突に灯されたスポットライトがステージ上を照らす。
その光の中に、浮かび上がる姿は――。

「ようこそ、プリキュア」
「お前は……!」

ラビリンス幹部、ウエスター。

「性懲りもなく現れたね。今日こそ、墓場送りにしてあげようか?」
「フフ……その言葉、今のお前にこそふさわしいぞ」

ウエスターが手をかざすと共に、部屋の明かりが一斉に点灯する。
眩しさに一瞬、目を瞑るメイ。

「な……!?」

部屋の壁や床を覆い尽くす、巨大な緑の蔓。

「すでにソレワターセを!?」
「この船がお前たちの棺桶となるのだ! ハッハッハッハ!!」

四方八方から、無数の蔓が一斉にメイへと殺到する。

「くっ……!」


***


「あれは!?」

船の異変に気付くラブたち。
触手のような蔓が船体を包み込むと、船首には巨大な赤い両目が開く。

『ソォォレワターセェェェ!!』
「……ソレワターセ!?」

錨(いかり)を引き千切ると、海を裂き、港へ向けて驀進するソレワターセ。

「このままじゃメイやブッキーたちが危ないわ!」
「美希たん、せつな……いくよ!」

一斉にリンクルンを構える三人。

「「「チェインジプリキュア! ビートア――ップ!!」」」

ソレワターセを迎え撃つように、港へと舞い降りる三人のプリキュア。

「フハハハハ……現れたなプリキュア!」

頭上から降り注ぐ声。
港に備え付けられたコンテナクレーン、その頂に立つウエスター。

「だが、もう遅いぞ」
「どういうこと!?」
「あの船の乗客、お前たちの仲間、全てが人質だ。 攻撃できまい!!」

迫り来るソレワターセを指差し、勝ち誇ったように叫ぶウエスター。

「ここで成す術もなく倒されるか、人質を犠牲にするか? それとも降参して、大人しくインフィニティを渡すか? 好きな手を選ばせてやる! ハッハッハッハッ!!」
「シフォンを……それだけはあかん!」

シフォンを背負い、ウエスターを睨みつけるタルト。

「……どうしたら……!」
「何とかして、みんなを助け出すしかないわね……」
「……私にまかせて」
「「パッション!?」」

リンクルンを手に、ソレワターセと正対するパッション。

「メイと協力して……アカルンリンクで、港と船内を繋ぐわ」
「そんなことができるの!?」
「わからない……でも、やるしかない。ピーチとベリーは、ウエスターを引き付けて!」

頷き合い、二手に分かれるプリキュアたち。

「ついにやったぞ……この俺が、インフィニティを……」
「「ダブルプリキュアキ―――ック!!」」
「おわああああっ!?」

勝利に酔いしれるウエスターに、ピーチとベリーの同時攻撃が炸裂する。
咄嗟に両腕で防いだものの、真っ逆さまに海へと転落するウエスター。

「……アカルン!」

鍵に変わったアカルンをリンクルンに挿し込み、そのままリンクロスへ念を飛ばすパッション。

(メイ、応えて……!)


***


ソレワターセに取り込まれた船内……パーティー会場もまた、地獄絵図と化そうとしていた。
獲物を求めるように、床や壁、天井を這い回るソレワターセの蔓。
部屋の中央で身を寄せ合いながら、恐怖に声を上げる乗客たち。

「みんなパニックに陥っている……僕が、僕がなんとかしないと……!」

震えながらも、船の責任者として、ゲスト守る方法を必死に模索する健人。
一方、その傍らに立つ祈里は、プリキュアへ変身する機会を得られずにいた。

(みんなの前じゃ、変身できない。……でも……)

躊躇いつつも、リンクルンを取り出す祈里。
同時に……痺れを切らしたか、祈里の動作に反応したか。
蔓の数本がうねり、祈里と健人に襲い掛かる。

「健人君、危ない!」

健人を庇い、祈里が蔓に身を晒した瞬間。
エメラルドの閃光が、その眼前で炸裂した。

「!?」

千切れ飛び、光の粒子となって消滅する緑の触手。
空気を裂く翡翠の光弾が、次々と周囲の蔓を駆逐していく。

「……メイさん!!」

右手に持ったリンクロス……ハンドガンを思わせるL字型に変形したそれから、圧縮されたプリキュアの力を乱れ撃ちながら……部屋の中央へと駆け抜けるメイ。
ドレスの裾を裂き、動き易いように短くくくっている。

「黒須さん!」
「皆さん、安心してください! プリキュアの力を借りて、港へ脱出します」

再生を始めた蔓を横目に見ながら、乗客たちへ呼びかけるメイ。

「メイさん、サーカスの動物たちが、まだ……」
「大丈夫。ここに来る途中、檻ごと港に送っておいたからさ」
「よ、よかった……」

メイの言葉に、安堵の息を漏らす猛獣使い。

「(ありがとう、メイさん。……でも、いいの? みんなの前でプリキュアの力を使っちゃって)」
「(変身さえしなければ、後でどうとでも言い繕えるさ)」
『メイ、準備はできた?』

リンクロスを通じ、メイの頭に響くパッションの声。

「御子柴君」
「はい……?」
「今からプリキュアが、みんなを港までワープさせる。……その後の避難を、君にお願いしたい」
「わ、わかりました!」

招待客たちの方へ向き直りかけて、再度メイを振り返る健人。

「……でもあの、黒須さんの持ってる、それは……」
「あぁ。これは、プリキュアに借りた物だから。細かいことは言いっこなし。OK?」
「は、はあ……」

リンクロスを頭上に掲げ、パッションの声とシンクロするように叫ぶメイ。

『「アカルンリンク!」』

赤い光がメイと祈里を除く乗客たちを包み、一瞬で港へと転送する。

「メイさん!」
「さて、ここからがパーティーの本番さ」

猛然と襲い来る蔓へ向け、リンクルンとリンクロスをかざす二人。

「「チェインジプリキュア! ビートア――ップ!!」」

手を繋ぎ、次元の地平を滑空する二人のプリキュア。
並んで着地し、軽やかな靴音を響かせる。

「イエローハートは祈りのしるし! とれたてフレッシュ、キュアパイン!!」
「四つのハートは夜明けの光! 朝焼けフレッシュ、キュアブレイク!!」


***


埠頭。
リンクルンを携えたパッションの前に、赤い光の中から現れる乗客たち。

「皆さん、早く逃げてください!」

パッションの指示に従い、港を駆けていく乗客たち。
檻から開放されたサーカスの動物たちも、主人と一緒に退避していく。

「健人君!?」

そんな中、独りソレワターセに向かっていこうとする健人。

「危ないわ!」
「まだ、山吹さんと黒須さんが中に!」
「……あなたの友達は、私たちが必ず助けるわ!」
「でも、二人を招待したのは僕なんです! 僕だけで、逃げるわけにはいかないんです!!」
「健人君……」

パッションに制止されながらも、洋上のソレワターセを睨む。


***


「ブレイク、私たちも外へ!」
「……いや」

ブレイクの髪飾りの一つが右目に装着され、船体を透視する。

「取り込んだ物が巨大過ぎる。……船内のどこかに、ソレワターセの本体がいるはずだ」

船を支配するソレワターセの力の流れ、その源。
ブレイクがその位置を探索する一方……外部では。

「おのれぇ……ソレワターセ、港を攻撃しろ!!」

波間でもがきながら、命令を叫ぶウエスター。

『ソレワターセェェェェ!!』

船体から伸びた蔓が絡み合い、甲板の上に幾つもの砲台を形作る。

「「……キュアスティック!」」

避難する乗客たちを守るように、スティックを振るってエネルギー弾を跳ね返すピーチとべリー。

「こうなれば、一人も逃がさん! 港を破壊し尽くせ!!」
『ソレワターセェェェェェ!!』

砲撃を行いながら、港へと迫り来るソレワターセ。

「なんとかして、あいつの動きを止めなきゃ!」
「……クローバーボックス」
「えっ!?」

ピーチの呟きに、振り返るベリー。

「でも、パインがいなきゃグランドフィナーレは……」

考えがあるとばかりに、笑顔で首を横に振るピーチ。


***


「機関部。ここに巣食った本体を叩けば」
「……待って!」
「パイン?」

走り出そうとしたブレイクの背に向かって、叫ぶパイン。

「……わたしがやるわ」

予想だにしない言葉に驚き、振り返るブレイク。

「港を守るには、ブレイクの力が必要だと思うの」
「……しかし……」
「ソレワターセの本体は、わたしが絶対になんとかするから」

ブレイクの手を取り、引き寄せるパイン。

「……危険過ぎる」

躊躇うように、視線を逸らそうとするブレイク。
その手を強く握り締め、瞳を真っ直ぐに見つめながら。
静かに、確かな口調で呟くパイン。

「わたしを信じて」
「…………」

少しの静寂の後。
ふっ、と息を漏らし、微笑を浮かべるブレイク。

「……そうだった。あなたは守られる姫じゃない。この世界の平和を守る、ナイトの一人だ」

優しくパインの手を解くと、代わりに自らの右の小指を差し出す。

「必ず、無事で」
「……うん」

ブレイクの指に、一回り小さなパインの小指が絡む。


***


「クローバーボックスよ、あたしたちに力を貸して!!」

ピーチの声に応え、展開されるクローバーフィールド。
次元の波が海上を駆け抜け、ソレワターセを呑み込む。

『ソレッ!?』

フィールドの上を走り、動きを封じられたソレワターセに接近するピーチとベリー。

「そうはいくかっ! ……プリキュアを迎え撃て!!」

命令に従い、負けじと砲撃を再開するソレワターセ。

『ソォォレワターセェェェ!!』

甲板に並んだ砲門が次々と火を放ち、射出された超高圧のエネルギー弾が、海上に白い水柱を伸ばしていく。

「ピーチロッド!!」
「ベリーソード!!」

キュアスティックで防御しながら、ソレワターセの周囲を駆け巡る二人。
ソレワターセの標的となり、攻撃を港から遠ざける。

「パッションハープ!!」

ハピネスハリケーンを使い、流れ弾を跳ね返すパッション。

「黒須さん! ……山吹さん!」
「健人君、危ない!」

取りこぼした弾が、埠頭の健人を直撃しようとした時。
赤い閃光と共に、ひらりと宙を舞う影。

「ハアッ!」

空気を抉るような回し蹴りで、光球を弾き返す白いプリキュア。

「……ブレイク!」

打ち返された弾は射出時の倍の速度で甲板を直撃し、砲門の半数ほどを巻き込んで爆裂する。

『ソレェェェェ!!?』

悲鳴を上げて沈黙するソレワターセ。
健人の前に降り立つと、その肩に手を置いて語りかけるブレイク。

「君の想いは私たちが受け継ぐ。……受け継がせてほしい」
「……え?」
「私たちの仲間……キュアパインも、あの中で戦っている」
「パインさんが!?」
「だから、信じてほしい。パインのことを……そして、君の友達のことを」
「ブレイクさん……」

その言葉に、ゆっくりと頷く健人。

「わかりました。パーティーの責任者として、二人の友達として、お願いします」

改めてブレイクに一礼し、他の乗客たちと共に避難していく。
それを見届けると、パッションと共にソレワターセの方へ向き直るブレイク。

「ブレイク、パインは……」
「船に残って、ソレワターセと戦っている。……こいつを倒すには、本体を直接排除するしかない」
「一人で!?」
「そんな……!」

ブレイクの言葉に動揺するピーチたち。
そこへ被さるように、再生を開始したソレワターセの雄叫びが港に轟く。

『ソォォレワターセェェェェ!!』

ブレイクによって破壊された砲門の全てが絡み合い、船の全長の半分ほどもある、超巨大な一門を造り出そうとしていた。

「こうなったら、全てを吹き飛ばしてやる! プリキュアも一緒になあっ!!」
『ソレェェェェ……』

低く唸りながら、砲門にエネルギーを充填させていくソレワターセ。

「私たちの役目は……パインが本体を倒すまで、こいつから港を守ることだ」

胸から外したリンクロスを、宙に放るブレイク。
一瞬にして巨大化したリンクロス――ブレイクバズーカを、ソレワターセに向ける。

「スーパーブレイクバズーカで、砲撃を相殺する」


***


同じ頃。
機関室に向かったパインは、ソレワターセの本体と対峙していた。

『ソレワターセェェ!!』

絡み合った蔓で構成されたボディに、船の舵輪、スクリューなどを取り込んでいる。

「やあっ! ……はっ!」

限られた空間での戦いは、機動力を頼りにするプリキュアにとって、絶対的に不利な状況と言えた。
それでも臆することなく、触手を跳ね除けてソレワターセに肉薄するパイン。
左右から襲い来る両腕をくぐり抜け、その胴へ拳を叩き込む。

「たああああっ!!」

瞬間。

『ソレッ!』
「きゃああっ!?」

高速回転を始めたスクリューが、パインの腕を弾き返す。

『ソレワターセェェ!!』

激痛に動きを止めたパインの身体を、ソレワターセの腕が薙ぎ払う。

「ああああっ!!」

衝撃で吹き飛ばされ、床を転がるリンクルン。
勢い良く壁に叩きつけられ、そのまま落下するパイン。

「く……っ……」

傷ついた右腕を押さえ、必死に起き上がろうとする彼女の真上に、立ちはだかるソレワターセの巨体が黒い影を落とす。

(やっぱり……無理なの……? わたし、一人じゃ……)


***


「無理よ! たった一人で戦うなんて……助けに行かなくちゃ!」
「ベリー!」

走り出そうとしたベリーの行く手を、ピーチの手が遮る。

「ブレイクは、パインを信じたから……だから、パインを残したんだよね」

バズーカを構えたまま……ピーチの言葉に、静かに頷くブレイク。

「でも、だからって一人では……」

パインの身を案じるパッションに向かって、左手の人差し指をちっちっと振ってみせるブレイク。

「そうじゃない」
「……え……?」


***


うつむいたパインの目に、振り落とされたリンクルンが映り込む。

「メイさん……わたし……」

呟いたその言葉に応えるように、リンクルンに緑色の光が灯る。

「……!」

見つめる瞳に、失われつつあった輝きを取り戻させるかのように。

「そっか……違うのね」

同じ目。
同じ笑顔を浮かべて、それぞれの立ち向かう敵を仰ぎ見る、パインとブレイク。

「わたしは……」
「……あの子は」

「「一人じゃない」」

全てのプリキュアは、一つの絆でリンクする。
仲間を信じ、信じられる限り。
どれほど離れようとも、決して、一人ではないのだ。

「そうね……パインは、一人じゃない。あたしたちはいつだって、一緒に戦ってる」

呟きながら、自分のリンクルンを取り出すベリー。
頷き、それぞれのリンクルンを握るピーチ、パッション。

『ワタァァァァ……』

ソレワターセの砲口に集中した光が、今にも溢れ出さんとばかりに激しく明滅する。

「ロックブレイク2!」

バズーカに装填したミドルンを、通常とは逆方向に回転させるブレイク。
ブレイクバズーカが大きく変形、展開し、新たに四つのトリガーが現れる。

「みんな!」

ブレイクの声に応え、トリガーを握るピーチ、ベリー、パッション。
それぞれのリンクルンを、バズーカへ組み込むようにセットする。

「「「プリキュアハイパーリンク!!!」」」

三人の声と共に桃・青・赤の光がリンクルンから伸び、幾何学的な無数のラインとなってバズーカを走る。

「……ファイナルプリキュアシューティング……」

照準をソレワターセの砲口に合わせ、引き金に指をかけるブレイク。

(……山吹さん……!)


***


「はああああああああっ!!」

パインの叫びが空気を裂いた。

『ソレッ!?』

床を蹴って飛び出すと、怯んだソレワターセの脇を掠めるように転がり抜ける。
その手に取り戻したリンクルンに、キルンを装填する。

「……えいっ!」

放出されたエネルギーがソレワターセの体を押し退け、キュアスティックへと結晶。

「癒せ、祈りのハーモニー! キュアスティック、パインフルート!!」

闇を払うかのように、勇ましくフルートを振りかざすパイン。

「悪いの、悪いの、飛んでいけ!」

右腕を苛む痛みは、既に意識の外へ消えていた。
今、感じるものは……仲間の心と、信じた絆のみ。

『セェェェェェッ!!』

ソレワターセの砲口から、凄まじい量のエネルギーが放たれる。
白く消し飛んだ視界の中で、同時にトリガーを引く四人。

「「「「ファイアー・オフ!!!!」」」」

絡み合った四色の光の渦が、禍々しい白い閃光と真正面からぶつかり合う。

「う……お……おわあああ――――っ!!?」

海面を走り抜ける衝撃波がウエスターを巻き込み、遥か沖へと運び去る。

「プリキュアはん……!」
「プリキュア~~~~!!」

眩い光に包まれる港。
両手を合わせてプリキュアの勝利を祈るタルト、その背で叫ぶシフォン。

「くっ……!!」

意識を集中し、必死にソレワターセの力を押し返そうとする四人のプリキュア。

「やはり……パインが欠けた状態では、長くは持ちそうにないか」
「ブレイク、弱気になっては駄目よ!」
「そうよ……あたしたち、絶対勝つって信じてるんだから!」
「五人の力を合わせて、みんなの幸せを守ってみせるよっ!!」

四人の、タルトとシフォンの祈りは届いた。
パインのもとに、計り知れない力となって。

「プリキュア・ヒーリングプレアー・フレ――――ッシュッ!!!」

ダイヤの紋章を描き、フルートを振り下ろすパイン。
ソレワターセの懐に飛び込み、零距離で癒しの力を爆発させる。

『ソレ……ワタ……セッ!?』

急速に船内を満たすプリキュアのエネルギー。
ソレワターセの砲撃が、僅かに弱まる。

「今だ!」

ブレイクの声を合図に、持てる力を一気に振り絞る四人。
ソレワターセのエネルギーを掻き消してプリキュアシューティングが炸裂し、船全体を内外から浄化する。

『シュワ……シュワァァ……』

本体の消滅と同時に、船体を埋め尽くしていた蔓の全てが朽ち果て、無に帰す。


***


夕陽が水平線を紅く染める中、何事も無かったかのような姿で港に佇むプリンセス号。
扉を開き、船の甲板へ姿を見せる祈里。

「メイさん……」

反対側から、手を振って彼女を迎えるメイ。

「約束、守ってくれてありがとう」
「メイさん!」

あちこちが破け、汚れたドレスを引き摺りながら、甲板の真ん中へ駆け寄る二人。
抱き合うその姿が、シルエットとなって夕陽に浮かび上がる。
端からその様子を眺めるラブたち。

「……二人とも、すごく綺麗」
「なんか、映画みたいだね!」
「そうね……二人とも今日のヒロインで、ヒーローよね」


***


薄暗い帰路。
外灯が照らす道を、並んで歩いていく祈里とメイ。

「今日のメイさん、カッコよかったな……お客さんたちもみんな感謝してたし、今度はメイさんがパーティーに招待されちゃうかも」
「その時は、山吹さんに付き合ってもらうさ」
「うふふ……楽しみにしてる!」

ふと……談笑を止め、夜空を見上げるメイ。

「私ね……」
「メイさん?」
「一年前。この町に来たばかりの頃は、誰のことも信じていなかった」
「…………」
「周りの人たちのことも、自分自身のことも」

天を仰ぐ横顔を、心配そうに見つめる祈里。
一瞬曇った、その表情を吹き飛ばすかのように……晴れやかな笑顔で応えるメイ。

「今はみんなを信じられる。自分のことも……前よりは、少しだけ」
「メイさん……」
「ほら、帰ってきたよ」

メイが指差した先に、そびえ立つゲート。
……二人を迎える、クローバータウンストリート。
足を速め、その下をくぐっていく祈里とメイ。

「「ただいま!」」

ゲートの頂点で輝く、小さな光。
一番星に、メイは祈る。
……この幸せが、明日もここに在り続けることを。





つづく




******


次回のフレッシュプリキュア! クロス†オーバーは、
第20話『運命の出会い! トワイライトから来た少女!!』をお送りします。
お楽しみに!




そして……。




???&???



最後の鍵、来たる。





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テーマ : プリキュア
ジャンル : アニメ・コミック

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No title

19話待ってました!!
くっそ、ブッキー回のはずなのにメイさんに目がいってしょうがねえ!!いちいち自然の動作が中二すぎるwwカワイイなもうwww悪い子じゃないのが分かってるから安心してニヤニヤ生暖かい目で見守れるwwとりあえず「私には桃園さんが・・・・・」なんてセリフは本人に告白の一つもしてから言おうぜメイさんw
紳士な獣ホワイトタイガー氏は出番少な目でしたね。代わりに御子柴クンが株を上げてるなあ。今回のやり取り見てると御子柴クンがメイさんへフラグが立ちそうだと思いました。けど、そんな素振りが無いあたり御子柴クンのブッキーへの本気度がわかった気もw……大介じゃなければ三色団子でもフォローするのなメイさんw
みんなの危機にドレス破ったり躊躇せず力を使えるメイさんはやっぱりいい子。もらった方のドレスは清水の舞台から飛び降りたつもりでラブさんにお披露目すればいいと思うんだw

コメントありがとうございます

>空魔神さん

ブレイク編に入ってからはリメイク要素が強いのですが、反面、原作で描かれた展開(祈里と健人、ホワイトタイガー等)はかなりカットしてますね。そういう意味では、前半以上にメイに比重を置いています。
健人くんへの対応がメイの基本スタイルで、ラブさんが絡んだ時がイレギュラーなんです。
もらった方のドレスは、着せる機会無いだろうな・・・w

祝・復活!

祝・復活! そして次回からの最終章に向けた最後の日常話にしては、新たな必殺技・スーパーブレイクバスーカも登場と、なかなかてんこ盛り的な内容でした。
ハトプリもキュアサンシャインに続いてキュアムーンライトの復活もあったりと、段々と最終章に向かいつつあるのですが、一方でクロスオーバーにも次回からファイナルキーパーソンが登場という事で、例のあの少女かな?という期待を持たせながら次回を待ちたいと思います。

コメントありがとうございます

>畑中 智晴さん

下手をするとハートキャッチの方が先に完結するかもしれません…(汗
しかし、時間はかかっても絶対に完結させるつもりでいるので、最後までお付き合いしていただけたら幸いです。
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Author:ヤネ
フレクロF、今度はイニシャルWW編です。

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